宣言通り、俺はその日から毎日鈴香の元へ通い続けた。病気が悪化していると言っても、まだ普段通りに喋られる状態だったため、保健室という場所以外はほとんど以前と変わらない2人の空間を過ごした。
たまにはお見舞い品としてお菓子やら花やらを持っていき、そのたびに鈴香の嬉々とした表情を見られるのがたまらなく嬉しかった。
友達として、他愛のない話で盛り上がり、別れ際には必ず「また明日」と言う。
そんな毎日を送っていたせいか、時折鈴香が病気であることも、彼女の余命も頭から離れてしまう。
けれども、日に日に弱っていく鈴香を見ていると現実に引き戻され、彼女の死期が近いことを認めざるを得なかった。
どんなに辛くても、俺には必ず笑顔を向けてくれた鈴香。そんな彼女は次第に寝たきりになり、点滴やら酸素マスクやら、多くの管で拘束されていった。
自由と共に命を奪われていく彼女を見るのは、正直辛かった。それでも、俺が悲しめば鈴香も悲しむ。それはお互いに分かっていたのだろう。だから、どんな時も俺たちは笑顔を貫いた。
そして迎えた、8月25日。夏休み最終日。
鈴香は、息を引き取った。