私は、小学一年生から仲が良い、リアルでの親友がいる。その子の名は『ゆきな』。私はゆき、と呼んでいる。

 ゆきは近所に住んでいて、毎日のように遊んでいた。私が悩みをかかえていたらすぐに駆けつけてくれる、本当に自慢の親友だった。

【2023年、3月】

小学校を卒業した。

「中学でも同じクラスだったらすごいよね」

 と、二人で話していた。もちろんそれだったら嬉しいけれど、そんな奇跡あるのかな、と思っていた。

【2023年、4月】

 私達は中学校に入学した。クラス表を見たら、なんとゆきとクラスが一緒だった。

「やばくない?」

「ね、すごいよね」

 こんな奇跡起きるのか……と思っていた。休み時間、教室移動、登下校は毎日一緒にしていた。もちろん小学校が違う友達とも仲良くなったが、やっぱり一番仲が良いのはゆきだった。

【2023年、8月】

 8月の後半、ゆきと一緒に出かける約束をしていた。その日、ゆきはある相談をしてきた。

「飼ってる猫が一匹亡くなったんだよね」

 と。ゆきは三匹猫を飼っているのだが、その一匹が亡くなってしまったとのこと。

「そっか、辛いよね」

 私はこのとき、そんなに深く考えていなかった。もちろん辛いだろうな……とは思っていたけれど、そこまで重要なことではない。そう考えていた。

【2023年、9月】

 夏休みが終わり、学校が再開した。ただ、一週間くらいゆきが休んでいた。

『ゆき、体育祭は来れそう?』

 9月の後半には、体育祭がある。ただ夏休みが終わってから、ゆきは学校に一度も来なかった。けれど連絡は取れていたし、もちろん心配はしていたけれど、そこまで不安ではなかった。

『うん、体育祭は行きたいしね』

 と、返事が来た。ところが体育祭の前日、予行練習をしていたときに私が熱中症のような症状があり、体育祭を休んでしまった。
 体育祭が終わり、ゆきにLINEを入れた。

『ゆき、私も結局体育祭休んじゃった。体調は大丈夫?』

 すると、既読はついたが返事は来なかった。ゆきはいつも返事が早いのに、本当に体調が悪いのかな……と流石に不安になった。
 その次の日も、また次の日も。返事は返ってこないままだった。

【2023年、11月】

 11月は、合唱祭があった。いわゆる合唱コンクールだ。それで私達吹奏楽部は演奏するので、ゆきに聴いてほしかった。

『ゆき、今度の合唱祭で吹部吹くんだ。ゆきにも来てほしいな』

 そう入れた。やっぱり既読はつくが、返事は来ない。何かしちゃったのかな、と思っていた。

【2023年、12月】

 結局、ゆきは9月から一度も学校に来なかった。そして、11月の後半から、既読すらつかない状態だった。9月のときに体調不良と言っていたのは本当なのか分からない。もしかしたら、その時から本当に心の奥で辛さを感じていて、今も感情が安定していなく、不登校になってしまったのかもしれない。

 ゆきと連絡が取れる状態のときに、私がもっと早く気づいてあげられていたら。私が支えられていたら、助けられていたら。こんなことにはならなかったのかもしれない。今もずっと、後悔している。