私は、カラオケアプリで出会ったネットの親友がいた。彼女の名は『なな』。ふざけるところや無邪気で可愛いところが愛おしかった。

 私が小学六年生のとき、そしてななが小学五年生のときに出会った。ななは私より一つ年下だけど、しっかり者で頼り甲斐のある子だった。

「まなみん!」

 いつもまなみん、まなみん、と私の名前を読んでくれた。しっかり者だけど無邪気で本当に可愛らしかった。

「やっぱりリア友より、まなみんが一番の親友だよ」

 そう言ってくれて、飛び跳ねそうにくらい嬉しかった。お互い、学校の友達よりもなんでも話せる親友だと思っていた。

【2022年、7月】

「明日から夏休みだね」

「夏休みはいっぱいルームしようね!」

 ルームとは、カラオケアプリのルームのことだ。ルームでは歌ったり、話したり、色々なことができる。毎日できる限りしようね、と話していた。

「じゃあ学校行ってくる」

「私も帰ってきたら連絡するね」

 この日が最後になるとは、思いもしなかった。

「ただいま」

 私は学校から帰ってきて、すぐに連絡した。いつもはすぐ返事が来るのに、その日は連絡が来なかった。けれど明日には連絡が来るだろう、と深く考えていなかった。

 次の日、また次の日……と、いつになっても応答がなかった。私は絶対に何かあったんだろう……と不安になっていた。けれどななはあくまでネットの親友だ。会いに行けないし、どうしようもない。私にできることは、待つくらいだった。

 そして夏休みが終わった。結局、“夏休みにできる限りルームしよう”という言葉は叶わなかった。一度も。

【2023年、3月】

 私は、ななの連絡をずっと待っていた。けれど一度も音沙汰が無いのだ。私はななと連絡が取ることができなくなったあの日から、ずっと孤独を感じていた。毎日泣くほど。なながいなくなって、こんなにも寂しいと思っていなかった。

 ななは生きているかも分からない。私は本当に地獄の中で、一人で暗闇を歩いているような感覚が続いている。