だから私さ、不謹慎かも知れないけれど、病気になって良かったなあって思うんだよね。それまでの人生もそれなりに楽しかったつもりだったけれど、今になって考えると、私の人生の中に夏樹がいないことを想像するとゾッとするんだよね。それだけあなたの存在は、私を幸せで満たしてくれていました。私、まだまだ夏樹に恩返ししなきゃいけないんだよ。だから大人しく死んだままでいられないんだよね。
 だからね夏樹、泣かなくて大丈夫だよ。私は絶対に生まれ変わる。生まれ変わってもう一度君に会いに行く。だからちょっとの間だけ、私がいない世界で頑張って生きていて下さい。浮気はするなよ。ありがとう夏樹、本当に大好き。またね。

一夏希よりー

 僕は手紙を何度も何度も読み返した。夏希の言葉には力がある。手紙に記されていてもそれは同じだった。夏希が生まれ変わる、と言うのなら本当に生まれ変わるのだろう。どんなに馬鹿げたあり得ない話でも、僕は信じて待てばいい。夏希が待ってて、と言っている。僕は手紙の中の夏希の言葉を信じて、生き続けることを決めた。どんなに辛い未来が待っていたとしても、夏希の言葉を裏切ることはできない。