一夏樹へー

 今、夏樹がこれを読んでいるということは、私はもうこの世にいないってことだよね? 夏樹、ありがとうね。私さ、本当に毎日楽しかった。余命宣告されてからさ、周りの友達も気を遣って私と関わらなくなっちゃってさ、本当は寂しかったんだ。だけど、夏樹が毎日私の隣にいてくれて、私に色々な表情を見せてくれたよね? 泣いたり怒ったり笑ったり喜んだり悲しんだりさ。夏樹といると本当に飽きなくてさ、ずっとこの時間が続けばいいなあって思ってた。初めて夏樹と出逢った日のこと、今でも鮮明に覚えているよ。夏樹から言われた言葉もハッキリと覚えててさ、死のうとしてた夏樹を責めて、私自身が死ぬことを告げた時、夏樹怒ってたよね? 人の死を否定して、自分の死を肯定するなんて身勝手にもほどがあるって言葉、ズシッて来たね。その通りだなって思った。でもね、何でだろう? 私、夏樹に死んでほしくなかったんだ。身勝手な女で本当にごめん。こんな女のために死なないでいてくれて、本当にありがとうね。