ところが、次の日になっても、また次の日になってもメッセージには既読がつかず、結局星弥と鈴心は三日間学校を休んだ。
「嘘でしょ、あの優等生かぶりが三日も休むなんてあり得る?」
信じられないと目を丸くして、永は部室で頭を抱えていた。
「一昨日送ったメッセージにまだ既読がつかねえ……なんかあったよな」
ダメ元で蕾生はもう一度携帯電話の画面を確認する。一昨日から何度やったことか。何も変わらない画面にいい加減うんざりだった。
「確実にそうだよね。まさかジジイから外出を止められてるのかな」
「鈴心だけならそうかもしんねえけど、銀騎までか?」
「だよねえ、あー、こんなことならリンの番号交換しておけば良かった!」
永が大袈裟に悔しがる。鈴心のものは皓矢に見張られているかもしれないので、四人の通信手段は専ら星弥と蕾生の携帯電話だった。
「完全に裏目に出た。多少のリスクはあっても、ホットラインは確立しておくべきだった」
「けどよ、メッセージまで読めない状況ってどんなだよ?」
蕾生の問いに答えながら、永は少し恐ろしい想像をする。
「そこだよ。携帯電話を取り上げられたのか、もしくは──」
本人の意識がない──とは蕾生の前で言うのを憚られた。考え過ぎだ、とそれをかき消すように永は頭を振る。
二人の間に言いようのない不安が渦巻いた頃、突然部室の窓が大きな音を立てて開けられた。
「ハル様! ライ!」
窓から頭だけひょっこり出しているのは、息を切らせた鈴心だった。
「リン!」
永が驚いて声を上げる。蕾生が更に驚いたのは鈴心の顔色が真っ青だったからだ。
「何があった?」
尋常ではない様子に蕾生が問いかけると、鈴心は息を整えることも忘れて掠れた声のままに訴えた。
「星弥を、星弥を助けてください」
「え?」
震えた声に永が怪訝に聞き返すと、なんの前置きもなく鈴心はとんでもないことを口にした。
「星弥は、あの子は、私の妹なんです!」
「──」
予想もしない言葉に、蕾生の思考は一瞬停止した。
永は額に手を当てて眉をひそめている。何か嫌な予感が的中した時のような顔で、「最悪だ……」と呟いた。
「嘘でしょ、あの優等生かぶりが三日も休むなんてあり得る?」
信じられないと目を丸くして、永は部室で頭を抱えていた。
「一昨日送ったメッセージにまだ既読がつかねえ……なんかあったよな」
ダメ元で蕾生はもう一度携帯電話の画面を確認する。一昨日から何度やったことか。何も変わらない画面にいい加減うんざりだった。
「確実にそうだよね。まさかジジイから外出を止められてるのかな」
「鈴心だけならそうかもしんねえけど、銀騎までか?」
「だよねえ、あー、こんなことならリンの番号交換しておけば良かった!」
永が大袈裟に悔しがる。鈴心のものは皓矢に見張られているかもしれないので、四人の通信手段は専ら星弥と蕾生の携帯電話だった。
「完全に裏目に出た。多少のリスクはあっても、ホットラインは確立しておくべきだった」
「けどよ、メッセージまで読めない状況ってどんなだよ?」
蕾生の問いに答えながら、永は少し恐ろしい想像をする。
「そこだよ。携帯電話を取り上げられたのか、もしくは──」
本人の意識がない──とは蕾生の前で言うのを憚られた。考え過ぎだ、とそれをかき消すように永は頭を振る。
二人の間に言いようのない不安が渦巻いた頃、突然部室の窓が大きな音を立てて開けられた。
「ハル様! ライ!」
窓から頭だけひょっこり出しているのは、息を切らせた鈴心だった。
「リン!」
永が驚いて声を上げる。蕾生が更に驚いたのは鈴心の顔色が真っ青だったからだ。
「何があった?」
尋常ではない様子に蕾生が問いかけると、鈴心は息を整えることも忘れて掠れた声のままに訴えた。
「星弥を、星弥を助けてください」
「え?」
震えた声に永が怪訝に聞き返すと、なんの前置きもなく鈴心はとんでもないことを口にした。
「星弥は、あの子は、私の妹なんです!」
「──」
予想もしない言葉に、蕾生の思考は一瞬停止した。
永は額に手を当てて眉をひそめている。何か嫌な予感が的中した時のような顔で、「最悪だ……」と呟いた。