部屋の隅で蹲っている。
 あれは、俺だ。
 
 初めて人を傷つけた。理不尽な力で傷つけた。
 納得がいかない。俺のせいじゃない。そんなつもりはなかった。
 
 怒りと困惑と情けなさ。そんな感情がぐるぐると頭の中で回り続ける。
 
 嫌だ。なんで俺は違うんだ。どうして俺が悪いんだ。
 
「ねえ」
 その声は無遠慮に俺の中に入って来た。
 
「君は悪くないよ」
 本当に?
 
「これからは僕が考える」
 暗い空が晴れた気がした。
 
「君の力は僕が使うから、僕が考えて君が動けばいい」
 ──いいのか?
 
「だから、出ておいでよ。僕には君が──」
 必要なんだ、と笑う姿に。
 心の底から安心した。