この時期にしては珍しく晴れた日の放課後。コレタマ部の面々は裏庭に集合していた。
 
「第一回、ボランティアたいかーい!」
 
 (はるか)が威勢よく宣言すると、星弥(せいや)もそれに乗って歓声とともに拍手を送る。
 そんな二人をよそに、ジャージ姿の蕾生(らいお)鈴心(すずね)は気がのらず白けていた。
 
「やっぱ、こういうのもやるのか」
 
 蕾生が肩を落として溜息を吐くと、軍手を手渡しながら永が軽快にそれを打ち消そうとする。
 
「まあね、たまにはやっとかないと部室取り上げられたら大変じゃない──と言う訳で、今日は校内草むしりをしまーす!」
 
「さすがハル様、尊い精神です」
 
 言葉と裏腹に鈴心の顔は強張っている。
 
「お前、真顔でお世辞言うのやめろ」
 
「失礼な。私は本心から言ってます」
 
 憮然とした表情で睨み合う蕾生と鈴心の間に星弥が割って入った。
 
「すずちゃん、わたし達はあっちの植え込みやろう」
 
「いえ、私はライと組みます」
 
「──は?」
 
 思いもよらない鈴心の言葉に、蕾生は思わず声がうわずった。
 驚いたのは星弥も同様だったが、意外にもすんなり納得して蕾生の二の腕を叩く。
 
「そっか、わかった。(ただ)くん、くれぐれもよろしくね!」
 
「あ、ああ……」
 
 蕾生がとまどっていると、鈴心が顎でついて来いとでも言うように歩き出す。
 
「僕らは組まなくてもいいか」
 
 あてが外れたのは永も同様で、星弥と目が合ったけれども特に感情を出さずに確認した。
 
「うん、そうだね」
 
 星弥も短く返答して、永とは別の方向を目指す。
 そんな二人のやり取りを見た鈴心は心配そうに蕾生に尋ねた。
 
「ライ、二人は仲が悪いんですか?」
 
「いや……合わないだけだろ」
 
 その話題を掘り下げることはなく、鈴心はしゃがんで草をむしり始めた。蕾生もそれに倣って隣で草を摘んでいった。