「何部にするんだ?」
蕾生が聞けば、星弥はうーんと空を見上げながら呟く。
「そうだね……先生に受けが良くて、それでいて他の生徒は微妙に入りたくないクラブ、かな?」
「なんだよそれ、そんなもんあんのか?」
「だよねえ。部員募集しなければいいんだけど、それも角が立つし──」
二人で悩んでいると、横から永があっさりと答える。
「そんなの簡単だよ」
「ええ?」
星弥が目を丸くして聞き返すと、永は得意気に人差し指を立てて言った。
「名付けて『これからの地球環境を考える』部! 活動内容は主に環境問題の研究と校内ボランティア──清掃したり、ちょっとしたお手伝いしたり」
付け足した内容は誰かの普段の行動を連想させた。
「げ。絶対入らねえ」
蕾生が嫌そうに言うと、星弥はにっこりと微笑みながら怒る。
「二人とも、わたしをいじってるんだね?」
「まあまあ、そのおかげでいい思いしてるんじゃない。よっ、部長!」
永が茶化すと星弥は白けた顔をして言った。
「何言ってるの、部長は周防くんでしょ」
「え! なんで!」
「わたしが部長までやったら、先生との癒着がバレるもん」
ついに認めた、と蕾生は開いた口が塞がらなかった。
永の方は抵抗しても意味がないと悟り、すんなり承諾する。
「ハイハイ、わかりましたよ、銀騎サマ。じゃあ、先生とナシつけといてね」
「うん。じゃあ、放課後部室棟に集合ね」
「もう今日からできるのか?」
蕾生が尋ねると、星弥は立ち上がってブイサインを掲げる。
「銀騎サマに任せなさーい!」
勢いよくそう言いながら、星弥は小走りに駆け出し校舎の中に消える。
月曜から行動力があるな、と蕾生はその姿を感心しながら見送った。
永がまたひとつ欠伸をしたところで予鈴のチャイムが鳴った。
◆ ◆ ◆
放課後、永と蕾生が体育館横の部室棟の前で待っていると、星弥が息を切らせてやってきた。
「ごめんね、お待たせ」
「首尾はどうだった?」
永が尋ねると、鍵を目の前にぶら下げてにっこりと笑う星弥は、勝ち誇った金メダリストの様だった。
「もちろん大成功! はい、これが部室の鍵。部長が責任持って預かるようにって」
「さっすが銀騎サマ!」
わざとらしく誉めそやした後、永はその鍵を受け取り、角部屋の扉を開ける。
中に入ると机と椅子が粗雑に置いてあり埃っぽかった。三人は窓を開けて軽く掃除をした後、机と椅子を四つ、班を組む時のように向かい合わせで並べた。
「うん、こんなもんかな」
パンパンと両手の埃を払いながら、星弥が満足そうに部室を見回した。
「じゃあ、まずは祝杯をあげよう」
「──ん」
永の号令に、蕾生は来る前に自動販売機で買ったパック牛乳を配る。星弥はそれを受け取って弾んだ声を出した。
「わあ、用意がいいね」
三人はそれで乾杯をした後、各々席についた。
蕾生が聞けば、星弥はうーんと空を見上げながら呟く。
「そうだね……先生に受けが良くて、それでいて他の生徒は微妙に入りたくないクラブ、かな?」
「なんだよそれ、そんなもんあんのか?」
「だよねえ。部員募集しなければいいんだけど、それも角が立つし──」
二人で悩んでいると、横から永があっさりと答える。
「そんなの簡単だよ」
「ええ?」
星弥が目を丸くして聞き返すと、永は得意気に人差し指を立てて言った。
「名付けて『これからの地球環境を考える』部! 活動内容は主に環境問題の研究と校内ボランティア──清掃したり、ちょっとしたお手伝いしたり」
付け足した内容は誰かの普段の行動を連想させた。
「げ。絶対入らねえ」
蕾生が嫌そうに言うと、星弥はにっこりと微笑みながら怒る。
「二人とも、わたしをいじってるんだね?」
「まあまあ、そのおかげでいい思いしてるんじゃない。よっ、部長!」
永が茶化すと星弥は白けた顔をして言った。
「何言ってるの、部長は周防くんでしょ」
「え! なんで!」
「わたしが部長までやったら、先生との癒着がバレるもん」
ついに認めた、と蕾生は開いた口が塞がらなかった。
永の方は抵抗しても意味がないと悟り、すんなり承諾する。
「ハイハイ、わかりましたよ、銀騎サマ。じゃあ、先生とナシつけといてね」
「うん。じゃあ、放課後部室棟に集合ね」
「もう今日からできるのか?」
蕾生が尋ねると、星弥は立ち上がってブイサインを掲げる。
「銀騎サマに任せなさーい!」
勢いよくそう言いながら、星弥は小走りに駆け出し校舎の中に消える。
月曜から行動力があるな、と蕾生はその姿を感心しながら見送った。
永がまたひとつ欠伸をしたところで予鈴のチャイムが鳴った。
◆ ◆ ◆
放課後、永と蕾生が体育館横の部室棟の前で待っていると、星弥が息を切らせてやってきた。
「ごめんね、お待たせ」
「首尾はどうだった?」
永が尋ねると、鍵を目の前にぶら下げてにっこりと笑う星弥は、勝ち誇った金メダリストの様だった。
「もちろん大成功! はい、これが部室の鍵。部長が責任持って預かるようにって」
「さっすが銀騎サマ!」
わざとらしく誉めそやした後、永はその鍵を受け取り、角部屋の扉を開ける。
中に入ると机と椅子が粗雑に置いてあり埃っぽかった。三人は窓を開けて軽く掃除をした後、机と椅子を四つ、班を組む時のように向かい合わせで並べた。
「うん、こんなもんかな」
パンパンと両手の埃を払いながら、星弥が満足そうに部室を見回した。
「じゃあ、まずは祝杯をあげよう」
「──ん」
永の号令に、蕾生は来る前に自動販売機で買ったパック牛乳を配る。星弥はそれを受け取って弾んだ声を出した。
「わあ、用意がいいね」
三人はそれで乾杯をした後、各々席についた。