蕾生、永、鈴心の三人で考えあぐねていると、ノックとともに皓矢と星弥が入ってきた。
皓矢は金属トレイのようなものを持っていたが、白い布で蓋がされており、何が入っているかはわからなかった。
「ごめんね、遅くなって」
「星弥! 大丈夫ですか?」
星弥の姿を見た途端、鈴心は磁石で引っ張られたかのように駆け寄って、その無事を確かめる。
それに少しはにかみながら星弥は答えた。
「わたしは大丈夫だよ、鵺化しかけた因子も元通りに沈黙してるって、兄さんが調べてくれたから」
「聞いたんですね……」
鈴心が声の調子を落として言うと、星弥は少しの困惑を浮かべながら、それでも笑って言った。
「うん。びっくりしたけど、あの状況を体験した後だったし、なんかすんなり納得しちゃった」
努めてのんびり笑う姿に、蕾生は安心した。
「お前も、強いな」
「えへへ、褒められた」
頬を紅潮させて嬉しそうに笑う星弥に、蕾生もなんとなく笑みが漏れた。
漂うほのぼのとした雰囲気がおもしろくない永は、わざと真面目ぶって皓矢に話しかける。
「皓矢、ジジイの容体は?」
「ああ、幸い一命は取り留めたよ。あの術は針を刺した後、毒──というか呪いのようなものを対象に注入するものだろうけど、その前段階で阻止できたからね。ただ、いつ目を覚ますかはわからない」
「そうか……」
皓矢の説明に肩を落とす永を元気付けようと、星弥は両の握り拳を振って力強く言う。
「お祖父様なら大丈夫だよ! 図太くてしぶといもん!」
「ダヨネー」
棒読みで答えた永とのやり取りに苦笑しながら、皓矢が軽く頭を下げた。
「今日は本当にすまなかった。身内から不始末がでたことも申し訳ない」
「あの女の正体は掴んでるのか?」
永が真面目な口調に戻しつつ聞くと、皓矢は首を振った。
「いや。これから調べるよ。彼女は古いスタッフだったから、何かしらの痕跡が残っているかもしれない」
「ま、それはそっちに任せるよ」
「何かわかったら報告する」
「──え?」
意外な言葉に永が驚いて顔を上げると、皓矢も同じような顔をしていた。
「? 言っただろう? これからは銀騎を挙げて君達をバックアップすると」
「あれ本気だったの!?」
「もちろん。これまでのことを償うためにもそうさせて欲しい」
「ああ、そうなの……まあ、そんなに言うなら? させてやっても? いいけど?」
永が戸惑いながら目を泳がせているのを見かねて、蕾生が会話に割り込んだ。
「すんません、永は振り上げた拳をしまうのが難しくなっているので」
「ちょっとライくん! 恥ずかしい、フォローが恥ずかしい!」
少し耳を赤くした永の様子に、皓矢は爽やかな笑顔を向ける。
「ははっ、君達は本当にいい相棒だね」
「わたしも、これからは完全に味方だからね!」
「ありがとうございます、お兄様、星弥……」
星弥もむんと両手を握って胸を張る。その様子に、鈴心は心底安心したように微笑んだ。
皓矢は金属トレイのようなものを持っていたが、白い布で蓋がされており、何が入っているかはわからなかった。
「ごめんね、遅くなって」
「星弥! 大丈夫ですか?」
星弥の姿を見た途端、鈴心は磁石で引っ張られたかのように駆け寄って、その無事を確かめる。
それに少しはにかみながら星弥は答えた。
「わたしは大丈夫だよ、鵺化しかけた因子も元通りに沈黙してるって、兄さんが調べてくれたから」
「聞いたんですね……」
鈴心が声の調子を落として言うと、星弥は少しの困惑を浮かべながら、それでも笑って言った。
「うん。びっくりしたけど、あの状況を体験した後だったし、なんかすんなり納得しちゃった」
努めてのんびり笑う姿に、蕾生は安心した。
「お前も、強いな」
「えへへ、褒められた」
頬を紅潮させて嬉しそうに笑う星弥に、蕾生もなんとなく笑みが漏れた。
漂うほのぼのとした雰囲気がおもしろくない永は、わざと真面目ぶって皓矢に話しかける。
「皓矢、ジジイの容体は?」
「ああ、幸い一命は取り留めたよ。あの術は針を刺した後、毒──というか呪いのようなものを対象に注入するものだろうけど、その前段階で阻止できたからね。ただ、いつ目を覚ますかはわからない」
「そうか……」
皓矢の説明に肩を落とす永を元気付けようと、星弥は両の握り拳を振って力強く言う。
「お祖父様なら大丈夫だよ! 図太くてしぶといもん!」
「ダヨネー」
棒読みで答えた永とのやり取りに苦笑しながら、皓矢が軽く頭を下げた。
「今日は本当にすまなかった。身内から不始末がでたことも申し訳ない」
「あの女の正体は掴んでるのか?」
永が真面目な口調に戻しつつ聞くと、皓矢は首を振った。
「いや。これから調べるよ。彼女は古いスタッフだったから、何かしらの痕跡が残っているかもしれない」
「ま、それはそっちに任せるよ」
「何かわかったら報告する」
「──え?」
意外な言葉に永が驚いて顔を上げると、皓矢も同じような顔をしていた。
「? 言っただろう? これからは銀騎を挙げて君達をバックアップすると」
「あれ本気だったの!?」
「もちろん。これまでのことを償うためにもそうさせて欲しい」
「ああ、そうなの……まあ、そんなに言うなら? させてやっても? いいけど?」
永が戸惑いながら目を泳がせているのを見かねて、蕾生が会話に割り込んだ。
「すんません、永は振り上げた拳をしまうのが難しくなっているので」
「ちょっとライくん! 恥ずかしい、フォローが恥ずかしい!」
少し耳を赤くした永の様子に、皓矢は爽やかな笑顔を向ける。
「ははっ、君達は本当にいい相棒だね」
「わたしも、これからは完全に味方だからね!」
「ありがとうございます、お兄様、星弥……」
星弥もむんと両手を握って胸を張る。その様子に、鈴心は心底安心したように微笑んだ。