ざわざわと木々が煩いほどに揺れている。
 視界は真っ暗で、もう何も見えない。お前が泣いている姿さえも、何も。
「ああ……これはおれの罪だ」
 違う。お前は何も悪くない。
 俺が弱かったから、守れなかった。

 赤い、赤い葉が生い茂る木の下で彼女は言った。
「もっと自分のことを考えていい」
 俺はそうは思わない。あいつの方がずっと辛い選択をしている。だけど彼女は首を振る。
「キミは何になりたいの?」
 その答えは考えたこともない。

 無機質の中で、アイツの声にならない叫びを聞いた気がする。
 だめだ。その手をとってはいけない。
 けれどそれを伝える術がない。

 
 ごめん
 全部、俺のせいだ