異世界から流れ着いた動物学者、弥永。ドラゴン伝説のあるキートラ島では、小さな地震と魔物たちの異常な行動が頻発するようになっていた。そのことがきっかけで、海底に住むセイレン族と島民のノマンたちの間で戦争が起きそうになる。仲裁に入った弥永は、セイレン族のジナイディアに案内されて海底に赴き、キートラ島が本当にドラゴンであったことを知る。冬眠状態にあるドラゴンが目覚めようと身動ぎをした結果、地震などの異常が起きていたのだった。目覚めさせようとしているのが島民たちではない(島民たちにそのメリットはない)と説得したい弥永は、ドラゴンの生態観察を始める。同時に、魔物たちの異常行動はドラゴンの目覚めとは関係がないとあたりを付け、原因を探る。
 ジナイディアと一緒にいるところを目撃され、弥永は島民からも「セイレン族の手先だ」と疑いを掛けられる。その緩衝材となってくれたのはマリベルだった。自由に動けない間、弥永はラトたちを使って情報を集める。そして、島内に侵入した不審人物たち(ナトゥラット)を発見する。ナトゥラットが真犯人だとわかったことで、弥永への疑いは解かれる。自然崇拝集団ナトゥラットはドラゴン伝説を信じ、偉大なるドラゴンを眠りから解き放とうと魔術器を持ち込んでいた。その大量の魔力にあてられて、魔物たちは異常行動を起こしていたのである。
 コーリアスたちナトゥラットと接触する弥永。しかし、話し合いは決裂する。島民もセイレン族も武力解決しかないと息巻くが、それは貴重な生態系を破壊することになるうえ、それがきっかけでドラゴンを目覚めさせる可能性があると弥永は指摘する。セリュナ、マリベルたちに島民を、ジナイディアにセイレン族を抑えてもらっている間に、弥永はなんとかして平和的解決の道を探ることにした。
 ジナイディアの許可を得て、セイレンの里でドラゴンについての文献を漁る。そこでドラゴンの逆鱗の存在を知る。もしコーリアスたちが先に逆鱗を発見し、そこに魔術器を設置してしまえば、ドラゴンは確実に目覚めてしまうだろう。そもそもこのドラゴンはエネルギー効率の問題から激しい活動に適した体はしていないため、目覚めさせても死への歩みを速めるだけだ。ドラゴンのためにも、眠らせておく方がいいのである。弥永は仲間たちと共に逆鱗の場所を探すが、そこに魔物を引き連れたヌシハーたちが立ちはだかる。
 決戦の末、弥永は魔術器を破壊することに成功する。島民とセイレン族は和解し、逆鱗の場所を封印し、厳重に守るため協力することを約束した。コーリアスたちの身柄はセイレン族に託され、どこか遠い地に流されることになったようだ。弥永は今回の功績が認められ、島に住み続ける許可を得る。今度は島民、セイレン族双方から相談事を持ち込まれながら、忙しくも好奇心に満ちた毎日を送るのだった。