私は親友が大好きだ。でも時々、親友が妬ましい。
私の親友とは小学5年生からの仲だ。当時、私はいじめに遭っていていつも1人で過ごしていた。
そんな時、気まぐれだったのかもしれないが、親友ともう1人の子にお楽しみ会の出し物を一緒にやらないかと誘われた。
嬉しくてその時のことが鮮明に今でも思い出せる。
プレハブの校舎に繋がる渡り廊下、昼休みには人があまり来なく静かで、蝉の音しか聞こえていなかった。
自分がいたところには太陽の光が差し込んでいて暑かった。その子は日陰にいたのに、同じように陽の光の中に来てくれた。
「一緒にやろう」その言葉にどれだけ救われたのか、今でもはっきり覚えている。
中学一年生、親友のことを妬ましいと感じるきっかけの年。
入学してどのぐらい日が経ったのかは忘れたが、ある日突然親友が変わった。
性格が変わったのではなく、見た目が変わったのだ。いわゆる垢抜けと言うもの。
私と同じメガネだったのにコンタクトにしていた。長い前髪もさっぱりして大きな目が輝いていた。
そして一番の衝撃、いつも後ろでひとつ結びにしていた髪をばっさり切り落として、ショートカットになっていた。
丸みたショートヘアでかっこいいより可愛いの印象が強かった。
親友からは何も言ってこない、私が何か言うのを待っている。
髪を切った女子は感想を待つ、自分もよくわかる「似合ってる」の一言が欲しい。
だから、何か言うべきだ、すごく可愛い、似合ってるって……
それなのに、私は何も言わなかった。
何の話かは覚えていないけど、どうでもいい話をしたのを覚えている。
コンタクトにしたね、髪ショートヘアになったね似合ってる……何も言えなかった。
その日の登校時間は気まずかった。親友の方がそわそわしていて、私はその様子を完全に無視をした。
学校についてからクラスメートが親友に集まり、男子も関係なく口々に言う。
「可愛い」「似合ってる」「垢抜けたね」「すげー」「新入生か?」
親友はやっと笑顔になり、安心しているようだった。
きっとクラスの中で親友の変化に対して何も言わなかったのは、私ぐらいだろう。
皆、最初に出てきた感情は「驚き」そして「ときめき」。
それに比べて私の最初に出てきた感情「驚き」の後に続いたのは「嫉妬」だった。
中学二年生、親友とはクラスが別になった。
あの日以来、喧嘩はたまにあったがそれ以外は普段通りだった。
特別気まずくなることはなくなかった出来事として処理された。
クラスで親友はモテてはいた。しかし恋人を作ることはなかった。友達のままがいい、と言っている。
実際男友達は多かった。中には恋心を抱くものは数人いたが、告白まではしていなかったようだ。
親友の周りには男女関係なく人が集まる。それに比べて私は、仲がいい数人の女子と一部の男子だけ。
基本的に私は親友に縋り付いていた気分だった。
私に男子友達ができたのも親友と仲がいい男子が多かったから。
女友達が私に話しかけてくる目的は、親友と仲良くなりたい一心で、私が仲介役にすぎない。
親友と一緒にいたのは友人を増やすためだったのかもしれない。
上部では笑顔を浮かべていたが、本当は誰よりも親友のことが嫌いだった。親友のおかげで成り立つ自分が嫌いだった。
クラスが別になり、親友と関わる時間は登下校だけになった。解放された気分で満ちていた。
それなのに、私に嬉しいニュースがやって来た。
彼氏となる男子が好意を寄せている、と親友が教えてくれた。
自分のことを好きになった男子は今までいたことがない。嬉しくて、実際に私も彼のことが気になっていた。
初めての両思いだと分かった途端、私はすぐに告白をしてしまった。
男子は照れながらも了承してくれて付き合うことになった。
そのことを最初に伝えたのは親友だった。
2人で飛び跳ねて喜んだ。親友は「よかったね」と何度も繰り返した。
全部が灰色に見えた世界で、親友をきっかけに光が宿った。この時、小学五年生ぶりに心から本当に親友に感謝した。
このことは親友には何度も話した。そのたび、親友は笑顔になって「○○は私の親友なんだから当たり前だよ」と言う。
親友、とはっきり呼ぶことは少し恥ずかしい。それでもお互いはっきり親友と呼んでいた。
周りからも、この2人の絆は強いとよく言われていた。
誰にも間に入ることができないくらい2人の絆は強いと。
だから誰も考えない……本当は誰よりも親友に「嫉妬」を抱いていたことを。
彼氏と付き合って五ヶ月、明日は私の誕生日! と言う日に彼氏に振られた。
いまいち状況が理解ができなくて、何も考えられなかった。
ようやく自分が振られてのだと気がついた時には、私は親友に自分の思いを吐き出していた。
自分の思いを乱暴に親友に投げつけていた気分だった。
彼に対する不満を親友は嫌な顔をせずに全部受け止めてくれた。
やっとスッキリした時、親友は明るい話をしてくれた。
恋とか関係ないただのくだらない話。この時私は確か親友にこう伝えた。
「○○が親友でよかったよ」
これは本心だった。
振られてから数ヶ月、今度は親友に彼氏ができた。
今度は親友に何かあったら私が出る番、そう意気込んでいたが、何もせずに親友は別れてしまった。
突然「ただ振られた」としか聞けなかった。
あまりにもケロッとしていたから、そんなにショックじゃないのかと思った。
私のように何か不満や後悔は出てこないのだろうか。
親友は強いんだな、そう思った。でもこれは勘違いだった。
これは三年生になって聞いた話。
あの時親友は相当追い込まれていた。
バレンタインデーにチョコを渡そうとしていたのに、彼女なのにいらないと言われていたと。トイレの中で1人で泣いたらしい。
あんなことあったな、なんて笑っていたが実際私の中ではショックが大きすぎた。
大丈夫と勝手に決めつけて、親友は強い、そう完結させていたが本当は弱っていた。
私に言ってくれなかった、大丈夫なふりをさせた。それって彼女にとって私は親友なのだろうか。
散々彼女のことを妬んでいたくせに、今になってちゃんと親友をやれているか不安になるなんて、自分勝手にも程がある。
中学三年生、またクラスが別になった。
しばらくして、親友に恋人ができた。
その人は容姿がとにかく整っていて、いわゆるイケメンだった。
頭もよく、野球部のエース、非の打ち所がない、と思ったが彼はコミュニケーション能力があまり高くない。
女子と話すのが苦手なようで、彼のことが好きな女子はうまく話せず、結局見るだけ、恋するだけで終わるらしい。
しかし親友は別だった。
可愛くて誰からも愛される性格、そして洗練されたコミュニケーション能力。
彼を魅了した親友、2人は側から見れば美男美女の憧れのカップルだった。
以前と比べて親友は楽しそうだった。
前の恋人より愛情表現を恥ずかしがりながらもちゃんとしてくれると言う。
他の人には滅多に見せない笑顔を親友にだけ毎日向けてくれる。幸せそうだった。
この時、私には恋人がいなかったが「嫉妬」と言う感情は一切なかった。
毎日幸せそうな親友を見て、自然と私も嬉しくなっていた。
ある日、事件が起きた。
いつものように登校をし、下駄箱につき靴を履き替える。
すると親友が下駄箱の前で固まっていた。
「どうしたの?」
「……水」
親友は自分の上履きを手で持ち、地面と平行に運ぶ。そして外に出してひっくり返す。
ピシャ……地面に水が叩きつけられる。
幸い人がいなく、視線を浴びることはなかった。
しばらく、2人は何も喋らなかった。先に口を開いたのは私だった。
「何これ、一体誰がやったの? 普通に意味わかんない」
私はその時、怒っていた。水を入れた奴に怒っていた。
一体誰がやったのか、それが知りたくてしかたなかった。
その時ふと親友の恋人のことがよぎった。
彼のことが好きで親友に当たったんじゃないかって。そのことも全部吐き出した。
親友は辛そうだった。
水を入れられるなんて、悲しまないはずがない。
私は親友を職員室に連れて行った。先生たちに現状を説明し、一旦私はその場の席を外すように言われた。
1人で教室に戻る途中、親友のクラスの前を通る。
一体誰があんなことを、気になって仕方がない。
ただ犯人に対する憎悪がどんどん溢れていた。
それから数日後、登校中親友が教えてくれた。
先生から犯人がわかったと言われたらしい。
原因は親友の彼氏のことが好きで親友のことが気に食わなかったから。
本人たちは謝りたいと言っていると。
その時、私は思ったことを口に出した。
「先生に怒られて、謝った先生からのイメージがいいって考えてるだけでしょ、とりあえず謝っておきたい感じがしてなんかムカつく。それに○○は必死に努力して可愛くなって〇〇とも付き合えてるんだし、人のことを妬む前に自分がいじめ以外のことに時間を使えよ、バカじゃないの」
1人でギャンギャン騒いでいると親友が微笑んでいるのに気がついた。
「○○が怒ってくれるの嬉しいな、うちは怒るの得意じゃないけど○○が怒ってくれるとスッキリする」
突然の言葉に驚愕してしばらく口を開けなかった。
そんなふうに思われていたなんて知らなかった。
自分は短気で短所だと思っていた。
しかしそれを褒めてくれるなんて、なんだか不思議な気分だった。
「でも怒ってるの見ると気分悪くない?」
「んーん、だって、大事な人にしか怒ってるとこ見せないでしょ」
そう言われて私はハッとなった。
確かに気を使う人には決して怒る振りを見せない。
空気を読んでいい子のふりをする。
だけど親友の前では自由に怒っていられる。
大事な人、親友だから素の自分で居られる。
親友が大事だから、私は怒っている。親友もそのことをよく分かっていた。
今でも時々親友のことが羨ましくて「嫉妬」することが度々ある。
それなのに高校が別れても連絡は続いている。
「嫉妬」があってもそれ以上に親友のことを大事に思っている。
喜ぶことも悲しむことも、怒ることも、全部本来の自分でいられる。
「嫉妬」しても私が親友から離れなかったのは、素の自分でいられたから。
親友のことが大事なんだと中学三年間で証明された。
今では親友におしゃれについて教えてもらい、実際に垢抜けに成功した。
こんな友情もあっていい、嫉妬を超えて大事な人が見つかった私の話。
私の親友とは小学5年生からの仲だ。当時、私はいじめに遭っていていつも1人で過ごしていた。
そんな時、気まぐれだったのかもしれないが、親友ともう1人の子にお楽しみ会の出し物を一緒にやらないかと誘われた。
嬉しくてその時のことが鮮明に今でも思い出せる。
プレハブの校舎に繋がる渡り廊下、昼休みには人があまり来なく静かで、蝉の音しか聞こえていなかった。
自分がいたところには太陽の光が差し込んでいて暑かった。その子は日陰にいたのに、同じように陽の光の中に来てくれた。
「一緒にやろう」その言葉にどれだけ救われたのか、今でもはっきり覚えている。
中学一年生、親友のことを妬ましいと感じるきっかけの年。
入学してどのぐらい日が経ったのかは忘れたが、ある日突然親友が変わった。
性格が変わったのではなく、見た目が変わったのだ。いわゆる垢抜けと言うもの。
私と同じメガネだったのにコンタクトにしていた。長い前髪もさっぱりして大きな目が輝いていた。
そして一番の衝撃、いつも後ろでひとつ結びにしていた髪をばっさり切り落として、ショートカットになっていた。
丸みたショートヘアでかっこいいより可愛いの印象が強かった。
親友からは何も言ってこない、私が何か言うのを待っている。
髪を切った女子は感想を待つ、自分もよくわかる「似合ってる」の一言が欲しい。
だから、何か言うべきだ、すごく可愛い、似合ってるって……
それなのに、私は何も言わなかった。
何の話かは覚えていないけど、どうでもいい話をしたのを覚えている。
コンタクトにしたね、髪ショートヘアになったね似合ってる……何も言えなかった。
その日の登校時間は気まずかった。親友の方がそわそわしていて、私はその様子を完全に無視をした。
学校についてからクラスメートが親友に集まり、男子も関係なく口々に言う。
「可愛い」「似合ってる」「垢抜けたね」「すげー」「新入生か?」
親友はやっと笑顔になり、安心しているようだった。
きっとクラスの中で親友の変化に対して何も言わなかったのは、私ぐらいだろう。
皆、最初に出てきた感情は「驚き」そして「ときめき」。
それに比べて私の最初に出てきた感情「驚き」の後に続いたのは「嫉妬」だった。
中学二年生、親友とはクラスが別になった。
あの日以来、喧嘩はたまにあったがそれ以外は普段通りだった。
特別気まずくなることはなくなかった出来事として処理された。
クラスで親友はモテてはいた。しかし恋人を作ることはなかった。友達のままがいい、と言っている。
実際男友達は多かった。中には恋心を抱くものは数人いたが、告白まではしていなかったようだ。
親友の周りには男女関係なく人が集まる。それに比べて私は、仲がいい数人の女子と一部の男子だけ。
基本的に私は親友に縋り付いていた気分だった。
私に男子友達ができたのも親友と仲がいい男子が多かったから。
女友達が私に話しかけてくる目的は、親友と仲良くなりたい一心で、私が仲介役にすぎない。
親友と一緒にいたのは友人を増やすためだったのかもしれない。
上部では笑顔を浮かべていたが、本当は誰よりも親友のことが嫌いだった。親友のおかげで成り立つ自分が嫌いだった。
クラスが別になり、親友と関わる時間は登下校だけになった。解放された気分で満ちていた。
それなのに、私に嬉しいニュースがやって来た。
彼氏となる男子が好意を寄せている、と親友が教えてくれた。
自分のことを好きになった男子は今までいたことがない。嬉しくて、実際に私も彼のことが気になっていた。
初めての両思いだと分かった途端、私はすぐに告白をしてしまった。
男子は照れながらも了承してくれて付き合うことになった。
そのことを最初に伝えたのは親友だった。
2人で飛び跳ねて喜んだ。親友は「よかったね」と何度も繰り返した。
全部が灰色に見えた世界で、親友をきっかけに光が宿った。この時、小学五年生ぶりに心から本当に親友に感謝した。
このことは親友には何度も話した。そのたび、親友は笑顔になって「○○は私の親友なんだから当たり前だよ」と言う。
親友、とはっきり呼ぶことは少し恥ずかしい。それでもお互いはっきり親友と呼んでいた。
周りからも、この2人の絆は強いとよく言われていた。
誰にも間に入ることができないくらい2人の絆は強いと。
だから誰も考えない……本当は誰よりも親友に「嫉妬」を抱いていたことを。
彼氏と付き合って五ヶ月、明日は私の誕生日! と言う日に彼氏に振られた。
いまいち状況が理解ができなくて、何も考えられなかった。
ようやく自分が振られてのだと気がついた時には、私は親友に自分の思いを吐き出していた。
自分の思いを乱暴に親友に投げつけていた気分だった。
彼に対する不満を親友は嫌な顔をせずに全部受け止めてくれた。
やっとスッキリした時、親友は明るい話をしてくれた。
恋とか関係ないただのくだらない話。この時私は確か親友にこう伝えた。
「○○が親友でよかったよ」
これは本心だった。
振られてから数ヶ月、今度は親友に彼氏ができた。
今度は親友に何かあったら私が出る番、そう意気込んでいたが、何もせずに親友は別れてしまった。
突然「ただ振られた」としか聞けなかった。
あまりにもケロッとしていたから、そんなにショックじゃないのかと思った。
私のように何か不満や後悔は出てこないのだろうか。
親友は強いんだな、そう思った。でもこれは勘違いだった。
これは三年生になって聞いた話。
あの時親友は相当追い込まれていた。
バレンタインデーにチョコを渡そうとしていたのに、彼女なのにいらないと言われていたと。トイレの中で1人で泣いたらしい。
あんなことあったな、なんて笑っていたが実際私の中ではショックが大きすぎた。
大丈夫と勝手に決めつけて、親友は強い、そう完結させていたが本当は弱っていた。
私に言ってくれなかった、大丈夫なふりをさせた。それって彼女にとって私は親友なのだろうか。
散々彼女のことを妬んでいたくせに、今になってちゃんと親友をやれているか不安になるなんて、自分勝手にも程がある。
中学三年生、またクラスが別になった。
しばらくして、親友に恋人ができた。
その人は容姿がとにかく整っていて、いわゆるイケメンだった。
頭もよく、野球部のエース、非の打ち所がない、と思ったが彼はコミュニケーション能力があまり高くない。
女子と話すのが苦手なようで、彼のことが好きな女子はうまく話せず、結局見るだけ、恋するだけで終わるらしい。
しかし親友は別だった。
可愛くて誰からも愛される性格、そして洗練されたコミュニケーション能力。
彼を魅了した親友、2人は側から見れば美男美女の憧れのカップルだった。
以前と比べて親友は楽しそうだった。
前の恋人より愛情表現を恥ずかしがりながらもちゃんとしてくれると言う。
他の人には滅多に見せない笑顔を親友にだけ毎日向けてくれる。幸せそうだった。
この時、私には恋人がいなかったが「嫉妬」と言う感情は一切なかった。
毎日幸せそうな親友を見て、自然と私も嬉しくなっていた。
ある日、事件が起きた。
いつものように登校をし、下駄箱につき靴を履き替える。
すると親友が下駄箱の前で固まっていた。
「どうしたの?」
「……水」
親友は自分の上履きを手で持ち、地面と平行に運ぶ。そして外に出してひっくり返す。
ピシャ……地面に水が叩きつけられる。
幸い人がいなく、視線を浴びることはなかった。
しばらく、2人は何も喋らなかった。先に口を開いたのは私だった。
「何これ、一体誰がやったの? 普通に意味わかんない」
私はその時、怒っていた。水を入れた奴に怒っていた。
一体誰がやったのか、それが知りたくてしかたなかった。
その時ふと親友の恋人のことがよぎった。
彼のことが好きで親友に当たったんじゃないかって。そのことも全部吐き出した。
親友は辛そうだった。
水を入れられるなんて、悲しまないはずがない。
私は親友を職員室に連れて行った。先生たちに現状を説明し、一旦私はその場の席を外すように言われた。
1人で教室に戻る途中、親友のクラスの前を通る。
一体誰があんなことを、気になって仕方がない。
ただ犯人に対する憎悪がどんどん溢れていた。
それから数日後、登校中親友が教えてくれた。
先生から犯人がわかったと言われたらしい。
原因は親友の彼氏のことが好きで親友のことが気に食わなかったから。
本人たちは謝りたいと言っていると。
その時、私は思ったことを口に出した。
「先生に怒られて、謝った先生からのイメージがいいって考えてるだけでしょ、とりあえず謝っておきたい感じがしてなんかムカつく。それに○○は必死に努力して可愛くなって〇〇とも付き合えてるんだし、人のことを妬む前に自分がいじめ以外のことに時間を使えよ、バカじゃないの」
1人でギャンギャン騒いでいると親友が微笑んでいるのに気がついた。
「○○が怒ってくれるの嬉しいな、うちは怒るの得意じゃないけど○○が怒ってくれるとスッキリする」
突然の言葉に驚愕してしばらく口を開けなかった。
そんなふうに思われていたなんて知らなかった。
自分は短気で短所だと思っていた。
しかしそれを褒めてくれるなんて、なんだか不思議な気分だった。
「でも怒ってるの見ると気分悪くない?」
「んーん、だって、大事な人にしか怒ってるとこ見せないでしょ」
そう言われて私はハッとなった。
確かに気を使う人には決して怒る振りを見せない。
空気を読んでいい子のふりをする。
だけど親友の前では自由に怒っていられる。
大事な人、親友だから素の自分で居られる。
親友が大事だから、私は怒っている。親友もそのことをよく分かっていた。
今でも時々親友のことが羨ましくて「嫉妬」することが度々ある。
それなのに高校が別れても連絡は続いている。
「嫉妬」があってもそれ以上に親友のことを大事に思っている。
喜ぶことも悲しむことも、怒ることも、全部本来の自分でいられる。
「嫉妬」しても私が親友から離れなかったのは、素の自分でいられたから。
親友のことが大事なんだと中学三年間で証明された。
今では親友におしゃれについて教えてもらい、実際に垢抜けに成功した。
こんな友情もあっていい、嫉妬を超えて大事な人が見つかった私の話。