「まもなく閉会式が始まります。体育館に集まってください」
遠くからアナウンスの声が聞こえる。
もうすぐ文化祭もフィナーレだ。
私はスカートを翻し体育館へと急いだ。
いつものようにカメラを構えてステージの近くで待ち構える。
「みなさんこんにちは。いよいよ文化祭も終わりですね。まずは、最優秀模擬店賞の発表をしたいと思います」
ステージ上では綾瀬さんが司会をつとめている。
白浜くんの出番はまだなのかな?
まさかまた具合が悪くて倒れているんじゃ――。
そんなことを思いながら綾瀬さんの写真を撮っていると、ステージ横に、何やらピアノが運び込まれてきた。
誰かピアノでも弾くのかな。
そう思っていると、綾瀬さんがニッコリと笑って紹介を始めた。
「続いては、生徒会長によるスペシャルパフォーマンスをお見せしたいと思います」
白浜くんのパフォーマンス?
私があっけに取られていると、綾瀬さんはマイクを手にこう言った。
「生徒会長は、それまで楽譜も読めなかったそうですが、この日のために頑張ってピアノの練習をしてきたそうです。それではお聞きください」
小さく呼吸の声がして。優しいピアノのメロディーが流れ出す。
あ。
この曲――。
私の部屋にあるオルゴールの曲。
パパが結婚式の時にママのために弾いた曲だ。
そっか。アユ先生の言ってた閉会式の特別な演出って、これだったんだ。
白浜くん、私の話を覚えていてわざわざこの曲を選んでくれたんだ。
白浜くんの指が鍵盤を走る。
澄み切った、だけれども力強い音が私の心の中を満たしていく。
心の中には、今までの白浜くんとの様々な思い出が走馬灯のようによみがえって来る。
白浜くんと初めてお隣同士になった日のこと。
初めて取材をした日のこと。
お母さんの病院にお見舞いに行った日のこと。
二人で映画館デートをしたこと。
二人で食べた何気ない日々のご飯。
二人で過ごした日々が、頭の中に次々と浮かんでくる。
気がついたら、目頭がじんと熱くなっていた。
白浜くん――。
遠くからアナウンスの声が聞こえる。
もうすぐ文化祭もフィナーレだ。
私はスカートを翻し体育館へと急いだ。
いつものようにカメラを構えてステージの近くで待ち構える。
「みなさんこんにちは。いよいよ文化祭も終わりですね。まずは、最優秀模擬店賞の発表をしたいと思います」
ステージ上では綾瀬さんが司会をつとめている。
白浜くんの出番はまだなのかな?
まさかまた具合が悪くて倒れているんじゃ――。
そんなことを思いながら綾瀬さんの写真を撮っていると、ステージ横に、何やらピアノが運び込まれてきた。
誰かピアノでも弾くのかな。
そう思っていると、綾瀬さんがニッコリと笑って紹介を始めた。
「続いては、生徒会長によるスペシャルパフォーマンスをお見せしたいと思います」
白浜くんのパフォーマンス?
私があっけに取られていると、綾瀬さんはマイクを手にこう言った。
「生徒会長は、それまで楽譜も読めなかったそうですが、この日のために頑張ってピアノの練習をしてきたそうです。それではお聞きください」
小さく呼吸の声がして。優しいピアノのメロディーが流れ出す。
あ。
この曲――。
私の部屋にあるオルゴールの曲。
パパが結婚式の時にママのために弾いた曲だ。
そっか。アユ先生の言ってた閉会式の特別な演出って、これだったんだ。
白浜くん、私の話を覚えていてわざわざこの曲を選んでくれたんだ。
白浜くんの指が鍵盤を走る。
澄み切った、だけれども力強い音が私の心の中を満たしていく。
心の中には、今までの白浜くんとの様々な思い出が走馬灯のようによみがえって来る。
白浜くんと初めてお隣同士になった日のこと。
初めて取材をした日のこと。
お母さんの病院にお見舞いに行った日のこと。
二人で映画館デートをしたこと。
二人で食べた何気ない日々のご飯。
二人で過ごした日々が、頭の中に次々と浮かんでくる。
気がついたら、目頭がじんと熱くなっていた。
白浜くん――。