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 結局、一晩かけて悩んだけど、どうすべきかは分からなかった。

 どうしよう、もうすぐ文化祭なのに。

 確かに、紬くんは可愛いし、いい子だよ。白浜くんとも実際に付き合ってるわけじゃない。だけど――。

 頭の中に、紬くんの真剣な顔が思い浮かぶ。

 私は一体どうしたらいいのだろう。

 アユ先生のことに紬くんのこと。

 立て続けにいろいろなことが起こり、私は混乱していた。

 ――にもかかわらず、私は何事も無かったかのような顔をして白浜くんとお昼のお弁当を食べていた。

「うん、この卵焼き美味しいね」

 無邪気な顔で卵焼きを頬張る白浜くん。

 私は精一杯の笑顔を作った。

「本当? よかった」

 この様子だと、白浜くんはあの号外を見てないのかな。

 どうしよう。あれを見せるべきかな……。

 迷ったけど、私は思い切って号外をカバンから取り出した。

「あ、あの、白浜くん、これ……」

 おずおずと日報を取り出すと、白浜くんは「ああ」と言って顔をしかめた。

「ひどい記事だよな、それ。たまたま先生が転んで抱き起こしたところを撮ったんだよ」

「そうだったんだ、良かった」

「まさか花もこの記事を信じたの?」

 上目遣いに私を見る白浜くん。

 ギクリと心臓が鳴る。

「う、ううん、そんなんじゃないけど」

「花だって、さんざん日報の嘘の記事に困らされてたじゃん。こんなの信じないでよ」

「うん……」