「ここだね、映画館」

 白浜くんが映画館を指さす。

「うん」

 私たちは映画館に入ると、二人で上映時間をチェックした。

 駅前の映画館はスクリーンの数もそんなに多くなくこじんまりとしているけど、程よくトレンドを抑えていて時には珍しい映画を上映してくれるので人気がある。

 二人で見ようかとあらかじめ決めていたのは、女子中高生やカップルに人気の泣ける切ない恋愛映画だった。

 周りにも、今話題の恋愛映画を見ようと若い女性客やカップルが並んでいる。

 だけど――私はその横のポスターをチラリと見た。

 この隣のスクリーンでやってる『ゾンビVSキョンシー~恐怖の街~』って映画、おもしろそうだなあ。

 私は結構ホラー映画とかパニック映画を見るのが好きだったりする。

 もちろんそれがデートにふさわしくないのは分かっているけど……。

 私がゾンビのポスターをじっと見つめていると、白浜くんが恐る恐る聞いてきた。

「もしかして花、こっちのほうがが見たい?」