「今日はごめんね」

 放課後になり、家にやって来るなり白浜くんが頭を下げた。

「へ?」

 私が首を傾げると、白浜くんは「はあ」と小さく息を吐いた。

「ほら、女子たちに絡まれてただろ」

「ああ。でもあれは白浜くんのおかげで何とかなったし、あれからは何も言われてないよ」

「そっか。良かった」

「それより上がって。お腹空いてるでしょ。今日のご飯はね――」

 そう言いかけたところへ、白浜くんが急に私の腕をつかんだ。

「それでなんだけどね」

 真剣な顔の白浜くん。

「それでって何? 白浜くん」

 私がドギマギしていると、白浜くんは真顔でこう言った。

「次の土曜日、時間ある?」

「次の土曜日? なんで?」

「デートしない?」

「デート? 誰と?」

 私がキョトンとしていると、白浜くんはニッコリ笑う。

「俺と」

 えっ……。

「デート? 白浜くんと、デート⁉︎」

「そう。何? 嫌なの?」

「いや、そうじゃないけど……」

 なんかあまりピンとこないというか現実感がないというか……。

 私が返事に困っていると、白浜くんは続けた。

「ほら、二人で仲良くデートしてる写真をネットにあげればみんな俺たちのことを納得してくれるかもしれないでしょ」

 白浜くんの言葉に、私はなるほど確かにそうかもしれないと納得する。

「ああ……なるほど」

 そっか。二人が仲睦まじくしている写真を上げ続ければ、みんな嫌でも納得せざるを得ないよね。