「ちよっとあんた、白浜くんの彼女って本当?」

 そこにいたのは怖い顔をした三人の女子だった。

 あっ、この子たち、白浜くんのファンの――。

「そ、そうですけど――」

 私が身構えながら返事をすると、三人組は顔を見合わせて渋い顔をした。

「えー、やっぱりそうなんだー」
「綾瀬さんのほうが可愛いし、白浜くんにふさわしいのに」
「そうよ、綾瀬さんがかわいそう! この泥棒猫!」
「しかも後輩の男の子とも仲が良くて三角関係だって」
「信じられない!」

 わめき立てる女子たち。

 どうやら彼女たちは、白浜くんと綾瀬さんが付き合っているのに、横から私が白浜くんを取ったと思っているようだった。

 ど、どうしよう。

 私が困っていると、不意にグイッと後ろから腕を引っ張られた。

「花、大丈夫?」

 立っていたのは、少し険しい顔をした白浜くんと綾瀬さんだった。

 周りがしんと静まり返る。

「し……白浜くん。綾瀬さん」

 私が戸惑っていると、白浜くんがずいと前に進み出た。

 白浜くんの瞳の中に、静かに燃える黒い炎が揺らめいているように見えてドキリとする。

 白夜くん、なんだかいつもと違う――?

「みんな誤解しているようだけど、これだけは言っておく」

 白浜くんは周りの生徒たちの顔をぐるりと見回し、低いけれどはっきりとした口調で言った。

「花に関するくだらないウワサは全部ウソだ。俺はいつも花に助けられているし、誠実で良い子だよ。もし彼女を傷つけるようなら、俺が許さない」

 周りにいた生徒たちが、全員息をのみ静まり返る。

 そりゃそうだ。

 学校での白浜くんはいつもクールで冷静沈着で、こんな風に怒ったりする姿なんて滅多に見ないんだから。