私が感心していると、下を向いていた綾瀬さんの目から急にポロポロと涙がこぼれ落ちてギョッとする。

「文化祭のでき次第で、白浜くんの生徒会長としての評価が決まるから、白浜くんも頑張ってるの。だからそんな時にあなたに邪魔されちゃ困るの」

「そんな……私は邪魔なんて」

「白浜くん、こっちから見ても怖いぐらいに準備に没頭してる。でも最近は最近無理がたたったみたいで顔色も良くないし、その上日報に熱愛報道まで出て……だから彼女になるのは自由だけど、あまり白浜くんの負担になることはしないでほしいの」

 切々と訴える綾瀬さん。

 確かに、最近の白浜くんはあんまり顔色が良くないかもしれない。心労もあるのかな。

「分かった。あんまり白浜くんの負担にならないようにするね」

 私が言うと、綾瀬さんはこくんと可愛らしくうなずき、ハンカチで目元をぬぐった。

「ごめんなさい、感情的になって。それじゃ、私、これで」

 パタパタと廊下をかけていく綾瀬さん。

 その後ろ姿を、私はなんだかやるせない気持ちで見つめた。