「びっくりしたよ。いきなり『花』だなんて」

 私がぶつくさ言うと、白浜くんは私の背中をトントンと叩きながら笑った、

「良いでしょ、彼女なんだから。花も俺のこと『港人』って呼んでいいから」

「遠慮しておきます」

 白浜くんのことを名前でなんて呼べるわけがない。

「そう? 別に遠慮しなくてもいいよ」

 遠慮なんてしてない!

 私たちがそんな話をしていると、突然ガラリと生徒会室のドアが開いた。

「あれっ、白浜くん」

 入ってきたのは、長いサラサラのストレートヘアーに白い肌の美少女。

 あ、白雪姫――じゃなくて副会長の綾瀬さんだ。

 白浜くんはあわてて私から離れた。

「ごめん、副会長。生徒会室、勝手に使ってたよ」

 白夜くんが言うと、綾瀬さんは困惑したようにサッと視線をそらした。

「いえ、別にかまいません。ただ、いくら彼女とはいえ、部外者を生徒会室に入れるのは……」

 綾瀬さんは机の上に書類をドサリと置くと、一瞬、私のほうをキッとにらんだ……ような気がした。