「沙雪ちゃんこそ、隣のクラスの彼はどうなってるの?」

「え? 斎藤くんのこと? 実はね――」

 そんなふうに私と沙雪ちゃんが話していると、急に沙雪ちゃんが顔を上げた。

「あ、ウワサをすれば白浜くんだよ」

 沙雪ちゃんが教室のドアのところを指さす。

 私は思わずぎょっとしてしまう。

 白浜くんが一体どうして私の教室に?

 私が戸惑っていると、白浜くんは爽やかな笑みを顔に張り付けて私の方へ歩いてきた。

「花、会いに来たよ。一緒にお弁当食べない?」

 お弁当? 

 っていうか花って――どうして急に呼び捨てになったのさ。

 私は少し戸惑いながらも、彼女なのに拒否するのも変かもしれないと思い渋々うなずいた。

「うん――沙雪ちゃん、行ってきていい?」

「いいよいいよ、二人は付き合ってるんだし、行って来なよ。私は斎藤くんと食べるから」

 ムフフと嬉しそうに笑う沙雪ちゃん。

「ごめんね、それじゃ」

 私は白浜くんの後について生徒会室へと向かった。