「それに白浜くんと花ってなんか不思議としっくりくるし」

 ふふふ、と笑いながら沙雪ちゃんが言う。

「え? 私と白浜くんが?」
 
 紗雪ちゃんの思わぬ言葉に、私は目をぱちくりさせてしまった。

 完璧王子の白浜くんと一般庶民の私、いったいどこがしっくりくるというのだろう。

「うん、二人なんかちょっと似てるし。妙に大人っぽいところとか、達観してるっぽいところが」

「ええっ、そうかなあ」

 私と白浜くんに似た部分があるなんて考えたこともなかったので面食らってしまう。

「最初は私、てっきり花は紬くんと付き合うのかと思ってたけどね。紬くんも可愛いし」

 沙雪ちゃんが言うと、わらわらと野次馬のように他の女子たちも集まって来る。

「そうそう! っていうか、あの子と付き合ってるのかと思ってた!」
「ねー、紬くんも結構イケメンだよね。もったいないー」
「なんで紬くんにしなかったの?」

 へっ、紬くん?

 何で今紬くんが出てくるの?

 私は慌てて首を横に振った。

「ないない。紬くんはあくまで私の弟みたいなものだし、私の彼氏は白浜くんだから」

 と、そこまで言って、急に沙雪ちゃんたちの表情が変わった。

「ん? どうしたの?」

 ゆっくり振り向くと、そこには真っ青な顔をした紬くんが立っていた。