「でもおめでとう。とうとう花に彼氏がでたんだね。これで色々恋バナもできるね」

 沙雪ちゃんは嬉しそうに私の背中を叩いた。

「沙雪ちゃんは私が白浜くんと付き合って怒ってないの?」

 私が恐る恐る尋ねると、沙雪ちゃんはキョトンした顔で首をかしげた。

「怒る? どうして怒るの?」

「だってほら、沙雪ちゃんってずっと白浜くんのこと好きだったでしょ?」

 私の問いに、沙雪ちゃんは「うーん」と上を向いて考えこんだ。

「……まあね。でも白浜くんはどちらかというと観賞用の男の子っていうか、恋愛対象っていうよりみんなのアイドルみたいな感じだったし別にショックじゃないよ」

 沙雪ちゃんの答えに少しほっとする。

「そうだったんだ」

 良かった。

 ほっと胸を撫で下ろす。

 最近、沙雪ちゃんは隣のクラスの男子と仲が良いみたいだし、その影響もあるのかな。先週デートに誘われたって嬉しそうな顔で言ってたし。