「はあ、疲れた」
家に帰ると、私は持っていた鞄をドサリと床に置いて座り込んだ。
「遅くなっちゃったね。でもお母さんが無事で良かった」
白浜くんも、まるで自分の部屋に帰ってくるみたいに何の迷いもなく私の部屋に入ってくる。
全くもう。
部屋に戻った私たちは、食べ損ねた肉じゃがを二人で食べた。
本当は副菜も欲しかったけど、作る時間がなかったからしょうがない。
「それでなんだけどね、俺、ちょっと考えたんだけど――」
ホクホクのジャガイモを頬張る私に、白浜くんは突然切り出した。
「うん?」
それでって、何の話?
私が戸惑っていると、白浜くんは名案とばかりに目を輝かせて言った。
「いっその事、俺たちは付き合ってるってことにして、学校新聞で大々的に報じちゃえばいいんじゃないの」
私は箸からにんじんをポロリと落とした。
何の話かと思ったら、例の熱愛報道の話の続きだったの⁉︎
しかも付き合っていることにしようだなんて――そんなの絶対ありえない。