うちの高校では、受験勉強のため、生徒会長の任期は三年の夏までということになっている。
そこで夏休み前に選挙があったんだけど、そこで対立候補に可哀想なくらい圧倒的大差をつけて白浜くんは生徒会長になった。
そして二学期。新生徒会長に就任してそろそろ一週間経つ。
だというのに、私たち新聞部は、白浜くんのインタビューをまだできていない。
急がないと。
だけど――。
「あれっ、いない」
先ほどまでステージ横にいたはずなのに、どこを探しても白浜くんの姿がない。
『それでは皆さん、これで就任式を終わります。三年生から順に体育館から退場してください』
そうこうしているうちに先生のアナウンスがあり、私たちは帰る生徒たちの波に飲まれて身動きが取れなくなってしまった。
「せ、先輩~」
紬くんが情けない声を上げる。
私は叫んだ。
「私に構わず、紬くんは生徒会長を探して!」
「は、はい!」
だけど結局、生徒会長の姿はどこにもなく、私たちはまた白浜くんの取材をすることができなかった。
「はあ……」
私と紬くんは体育館の隅に座り込んだ。
「生徒会長、いったいどこにいるんでしょうね」
紬くんが肩を落とす。
新会長は神出鬼没だ。
アポを取ろうとしても、生徒会室にはいつもいない。
それならと教室へ向かっても、白浜くんんは休み時間になるとすぐにどこかへ消えてしまう。
いったいどうしたら取材ができるのやら。