私はスマホを手に途方に暮れた。

 お母さんが倒れただなんて……一体なんでだろう。

 私がぼう然としていると、白浜くんが心配そうに声をかけてくる。

「どうしたの、花。顔が真っ青だけどおばあちゃんは何て?」

「よ、よく分かんないけど……お母さんが倒れたって」

 私は震える唇で白浜くんに打ち明けた。

 自分で口にしておいて自分で信じられない。

 だって、そんなまさか。どうしてお母さんが。

「えっ、倒れたってどうして?」

 心配そうな顔をする白浜くん。

 私は首を横に振った。

「どうしてかは全然分かんない。叔母さんもさっき病院から連絡が来たばかりで、よく分かってないみたいで……」

 どうしたんだろう、お母さん。

 事故? 病気?

 頭の中にグルグルと悪い考えがうずまく。

 どうしよう、もしお父さんだけでなくお母さんまで死んじゃったりしたら……。

「花、大丈夫だよ」

 よほど不安そうな顔をしていたのだろう。白浜くんがギュッと私の手を握ってくれた。

 暖かなぬくもりに、私はハッと顔を上げる。

「白浜くん……」

 白浜くんは、完璧王子のスマイルとも、さわやかな生徒会長とも全然違う、真っ直ぐな眼差しで私を見つめて言った。

「俺がついてる。一緒に病院に行こう」