私が少し拗ねながらジャガイモに火が通ったか串を刺していると、白浜くんが急に声を上げた。

「あれっ、花のスマホ光ってる」
　
「えっ、スマホ？」

　慌ててスマホを手にとると、叔母さん――お母さんの妹からの着信だった。

　叔母さんが電話なんて珍しいな。どうしたんだろ。

　不思議に思いながらも電話に出る。

「はい、もしもし？」

　この忙しいときに何の用だろう。私が少しぶっきらぼうに言うと、少し遠い電話口からこんな声が聞こえてきた。

「花、大変よ。あんたのお母さんが倒れたの！」

「ええっ」

　お母さんが倒れた!?

　目の前が真っ暗になりそうになるも、なんとかその場に踏みとどまり声を絞り出す。

「ど、どうして？」

「私もさっき病院から連絡があったばかりだからよく分からないんだけど、とくこれから総合病院に行って様子見てくるわ。あんたは心配するんじゃないよ。それじゃあね！」

「あ、ちょっと！」

　ガチャッ。

　ツーツーツー。

　電話が一方的に切られる。

　まったくもう、叔母さんときたら。

　お母さんもそうだけど、どうもうちの叔母さんはそそっかしいというか向こうの都合だけをばーっと一方的に話すクセがある。

　心配することじゃないって言われても心配に決まってるじゃん。