先輩がこんなに顔色を変えるだなんて、どんな記事なんだろう。

 私は先輩が手に持っている日報をひょいとのぞきこんだ。

 見出しに書いてあったのは、「熱愛発覚!? 新聞部の記者、生徒会長にお弁当の差し入れ」という文字。

 ええっ。

 記事とともに私が白浜くんにお弁当を渡す写真も掲載されている。

 何これ。

 誰かがスマホで撮った写真だろうか。

 私がびっくりして固まっていると、紬くんが青い顔をして私の顔を見つめた。

「これって本当なんですか!?」

 私は慌てて首を横に振った。

「本当なわけないじゃん。たまたま取材のお礼にあげただけだよ」

 紬くんはホッと胸をなで下ろした。

「なぁんだ、そうだったんですね」

 そんなやり取りを横で見ていた部長は眉に皺を寄せた。

「まあ、ともあれ、否定の記事は書かないと。このままだと新聞部の名誉にも生徒会長の評判にも傷がつくぞ」

「はい、すみません。そうします」

 私はぺこりと頭を下げた。

 困ったなあ。

 とりあえず白浜くんの名誉のためにも、ゴシップを否定する記事を書かないと。

 これで騒動が収まるといいんだけど……。