「生徒会長、かっこいいよね」
「本当、王子様みたい」
周りにいた女子たちのヒソヒソ声が聞こえてくる。
まあね。
確かにどの角度から撮っても、白浜くんはかっこいい。
しかもかっこいいだけでなく、挨拶をする白浜くんの姿はびっくりするほど落ち着いていた。
いったい何度練習したのだろう。
はっきりと聞き取りやすい口調で、私たちが欲しいであろう言葉を的確にくれる白浜くん。
立ち姿もお辞儀の角度も完璧。
何というか隙がない。
すごいな。とても私と同じ高二とは思えない。
私だったらあんなに大勢の人に見つめられてたら緊張して何も話せなくなるだろうに。
いったいどういう神経をしていたらあんなに落ち着けるのやら。
私がそんなことを考えていると、隣にいた男の子が私の腕を小さくつつく。
「先輩、生徒会長にあいさつが終わりましたよ。早く取材に行かないと」
茶色いツンツンした髪に、猫みたいに大きな瞳の可愛い系男子。
新聞部の後輩で幼なじみの紬くんだ。
「そうだね、急がないと」
私たちはステージから降りてくる白浜くんを慌てて追いかけた。