この日以来、ファンの子から贈られた食材を私がもらう代わりに、白浜くんは時々うちに来ては、晩ご飯を食べていくようになった。

　けれど、学校では私と白浜くんの関係に気づく人はいなかった。

　白浜くんと私はクラスも違うし、普段は全然話さないからね。

　まあ、私としてもその方が安心なんだけど。

　下手に学校で話しかけられて、白浜くんのファンの子たちに恨まれても困るし。

　私は目立たずひっそりと地味な学校生活を送りたい。

　そんな事を考えながら教室でお昼を食べていると、沙雪ちゃんが私の肩をたたく。

「見て見て、あそこ、白浜くん！」

「へ？」

　言われるがまま、窓の外に視線をやると、そこでは白浜くんが男子数人とバスケをやっている所だった。

　へえ、白浜くん、バスケできるんだ。

　クラスが違うから体育の時間中の彼を見たことがないし、去年の体育祭でもずっと生徒会で裏方をやってたから知らなかった。

　そう思いながら見ていると、白浜くんは身軽な動作でひょいとキレイなレイアップシュートを決めた。

　わあ。綺麗なシュート。

　私が白浜くんのシュートフォームに感心していると、一人の女子が白浜くんに駆け寄っていってタオルを渡した。