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「五十鈴さん、おかえり」

 放課後、学生寮に帰ると、白浜くんが紙袋をいくつも抱えて部屋の前に立っていた。

 足元には食材が入っていると思われる段ボールもある。

「えっ、何この荷物」

 私があぜんとしていると白浜くんが説明してくれる。

「なんか、生徒会室の前にこの段ボールが置かれてたんだよ。すごいね、新聞の効果でこんなに差し入れが来るとは」

 うんざりしたように言う白浜くん。

「断らなかったの?」

 私が聞くと、白浜くんはアメリカ人みたいに肩をすくめた。

「ああ、だって部屋の前に置かれてたのはどうしようもないし、五十鈴さんに言われたから」

 白浜くんはぶつくさ言いながらいくつも袋やダンボールを部屋の中に運びこんだ。

「私も手伝うよ」

 あまりにも量が多いので私も床に置いてある袋持ってを運ぶのを手伝っていると、白浜くんは顎で袋をさした。

「もし良かったら、好きなの持っていきなよ。俺は食べないから、五十鈴さんが欲しいのがあったらあげる」

「わあっ、本当?」

 お言葉に甘えて、白浜くんの部屋に上がりこむ。

 白浜くんの部屋は、白と黒で統一されたシンプルな部屋だった。

 壁のハンガーにはきちんとアイロンされた制服のシャツとブレザー。

 白浜くんの部屋は男子高校生の部屋とは思えぬほど片付いていた。

 まあ、イメージ通りと言えばイマージ通りだけど、引っ越してきたばかりだからこういうものなのだろうか。