百八十近い長身に、陶器のように白い肌。

 少し茶色がかった黒髪はサラサラで、大きな切れ長の目はうっとりするほど美しい。

 白浜くんは名前の通り、白い海岸のように美しく、見ているだけで爽やかな風が吹き抜けるような、そんな男の子だった。

「こんにちは。このたび引退した荒木生徒会長の後を引き継ぎ、新たな生徒会長となりました、白浜港人です」

 彼の顔を見て、私はひと目で分かった。

 あ、この人だ。

 お父さんが言ってた「写真を撮られるために生まれてきたような人」。

 カメラのピントを合わせたわけでもないのに、周りの人たちの輪郭がぼやけて、くっきりと浮かび上がるように見える人。

 まるで薄暗い深海に光がさすように、その人の周りだけが明るく輝いて見える人。

 私、五十鈴(いすず)(はな)は、夢中でお父さんの形見の一眼レフを構えた。

 ――パシャリ。

 白浜くんのあいさつ姿をカメラに収める。

 まるで私たち凡人とは別世界の人間みたい。

 オーラがあるっていうのかな。

 白浜くんの周りだけ、海岸線にあたる日の光みたいにキラキラ輝いて見える。