白浜くんのインタビューを記事にすると、予想通り学校新聞は瞬く間に完売した。

「五十鈴先輩、購買の新聞、もう売り切れでしたよ」

 購買にいた紬くんが大慌てで部室に走ってくる。

 どうやら予備に刷った分の新聞ももう無くなってしまったらしい。

 白浜くんの人気はすごいだろうなとは思っていたけど、ここまでとは予想外だ。

「ええっ、もう? 大変、もっと刷らないと」

「はい!」

 私は新聞部の部室でコピーを取り、紬くんはコピー機のある職員室に急いだ。

「これだけあれば大丈夫だと思うけど」

 私はどっさりと刷った新聞を購買に補充した。

「でも、またお昼休みには無くなっちゃうかもしれませんね」

 紬くんがげんなりした顔をする。

「でも先輩、あの生徒会長によく独占インタビューなんてできましたね。教室にも生徒会室にも、いつ行ってもいないのに」

「え、ええと……」

 まさか隣同士に住んでいるだとか、お弁当を作っているなんてこと言えるはずがない。

 でもそうしたらどうやって仲良くなったのか説明できない。

「実は生徒会長が私の住んでる学生寮に引っ越してきてさ、それでちょっと仲良くなったの」

 私は部屋が隣なことは隠して、白浜くんが学生寮に越してきたことだけ紬くんに説明した。

「えっ、そうだったんですか!?」

 紬くんが猫みたいに大きな目をさらに見開く。