「そうなんだ」

 うなずいたあとで、私はこの際だから、気になっていたことを聞いてみることにした。

「そういえば白浜くんは、家事がダメなのにどうして一人暮らしてるの?」

 白浜くんの動きが一瞬ピタリと止まる。

「まずいこと聞いた?」

 私が聞くと、白浜くんは頭をポリポリかいた。

「いや、いいけど……別に大した理由じゃないよ。ただ一人暮らしに憧れてただけ」

「それだけなの?」

「うん。両親は最初は家から通えるのにって反対してたんだけど、賭けで勝ったから無理やり願いを聞いてもらった」

「賭け?」

「うん。もし俺が生徒会長に立候補して選挙に勝ったら一人暮らしを許すって」

「そうだったんだ」

 それで本当に生徒会長になって願いをかなえるなんてすごいし、許可したご両親もすごいな。

 白浜くんは実行力があることを長所にあげていたけど、どうやらそれは本当らしかった。

  私はそのあといくつか質問をしてからカメラを構えた。

「それじゃ、取材はこれで終わりだけど、最後に一枚写真撮ってもいい?」

「いいよ、もちろん」

 椅子に座りなおし、背筋を伸ばす白浜くん。

「それじゃ、いくよ」

 と、私がシャッターを切ろうとすると、急に白浜くんがストップをかけた。

「あ、ちょっと待って」