「さ、入って」
白浜くんは私と一緒に生徒会室に入ると、ガチャリとカギを閉めた。
そっか。ここなら誰にも見られず話ができるもんね。
「……おじゃまします」
とりあえず私は目の前のソファーに腰かけた。
「白浜くん、話って何?」
私が恐る恐る切り出すと、白浜くんはニコリと完璧な笑顔を見せた。
「まずは五十鈴さん、昨日はありがとう。助かったよ」
ぺこりと頭を下げる白浜くん。
「ど、どういたしまして」
それはいいんだけど――まさか、昨日のお礼を言いにこんな所まで?
私が不思議に思っていると、白浜くんは小さく咳払いをして切り出した。
「――それで、さっきの話を聞いて思いついたんだけどさ」
「さっきの話?」
「俺を表紙にすると新聞の売上が上がるって話」
「ああ、その話ね」
白浜くん、聞いてたんだ。
「そこで提案。五十鈴さん、俺の取材をしたくはない?」
「したいっ」
私は白浜くんの言葉に思いっきり飛びついた。
白浜くんの取材なんて、したいに決まってるじゃん。
「でしょ。なら取材させてあげてもいいんだけど」
「本当?」
私が身を乗り出すと、白浜くんはこんなことを言いだした。
「その代わりに、俺のお弁当を五十鈴さんが作ってくれないかな」
白浜くんの提案に、頭の中がフリーズする。
えっ、私が白浜くんにお弁当を?