紬『おはようございます、先輩。昨日は生徒会長にインタビューできなくて残念でしたね。僕もどうやれば生徒会長にインタビューできるのか色々考えてみます』

 朝起きて、紬くんからのメッセージに気がつく。

 白浜くんにインタビューかぁ。

 私は昨日のできごとを思い出した。

 どうしよう。

 白浜くんと隣の部屋になったことを紬くんに言うべきだろうか。

 なんて考えてから頭をぶんぶんと横に振る。

 いや、あんまり期待させてダメだったら悪いから、とりあえず内緒にしておこう。

 白浜くんにも他の人に内緒にしてって言われたしね。

 花『ありがとう。私も色々考えておくね』


「よし……っと」

 私はメッセージを紬くんに返すと、愛用のカメラを手にいつものように学校へと向かった。

「花、おはよう」

 学校に着くなり、沙雪ちゃんが走ってくる。

「おはよう沙雪ちゃん。今日は早いね」

「私、今日は花壇の水やり当番なの。花は?」

「今日は学園新聞の発売日だから、売店を見に来たの」

 私は学校の玄関横にある購買を指さした。

 今日は私たち新聞部が毎週発行している学校新聞の発売日。

 早めに登校して、こっそり学校新聞の売上をチェックしようと思ったんだ。

「そうなんだ。もしかしてそれ、白浜くんが載ってる?」

 沙雪ちゃんが、私の持っていた新聞を指さす。

「うん、この間の就任式の記事が一面だよ」

 私が言うと、沙雪ちゃんはぱあっと顔を輝かせた。

「本当? それなら三部買わなきゃ。保存用と観賞用と布教用!」

 ウキウキ顔で新聞を手に取る沙雪ちゃん。

 沙雪ちゃんだけじゃない。

 購買のまわりには白浜くんファンの女の子たちがたくさん。

「これ、白浜くん載ってますか?」
「一部ください」
「私にも!」

 本当にすごいな、白浜くん。まるでアイドルみたい。

 そんなすごい人と隣の部屋になって、ご飯を一緒に食べただなんて、まだ実感がわかないや。