中にはピンボケしたものや光が入り失敗した写真もあったけど、どれも良い写真だった。
「……何これ。私ばっかりじゃん」
自然と笑みがこぼれる。
私が白浜くんの写真ばっかり撮っていたみたいに、白浜くんも私の写真ばかり取っていた。
白浜くんが映っている写真は数枚しかない。
だけど、三十枚すべての写真に、白浜くんの意思や優しいまなざしが宿っているような気がした。
私たちは、こうしてファインダー越しにいつも互いをのぞきあっていた。
この写真の中に、間違いなく白浜くんは生きている。そう思えた。
「……あれ? これって」
パラパラと写真を見ていた私は最後の一枚に手を止めた。
いつ撮ったのか分からないその写真は、私の部屋で撮られたものだった。
見慣れたオルゴールの箱。その下に『お誕生日おめでとう』という文字の書かれたメモが写っている。
まさか。
私はオルゴールの箱に駆け寄ると、金の鳥のついた蓋を恐る恐る開けた。
そこには銀色のシンプルなデザインの腕時計がまるで宝物みたいにちょこんと置かれていた。
私は腕時計を自分の腕に巻いた。
白浜くんのことだから、高校生向けの時計というよりは、恐らく大人になってからも付けられるようにと、あえて大人っぽいデザインを選んだに違いない。
これからも二人がずっと一緒にいられるようにと。