部屋に戻ると、私はじっとカメラを見つめた。
自分で撮ったことがないのでよく分からないけれど、どうやらこのカメラは三十枚写真が撮れるものらしい。
一体何枚くらい撮ったのだろうかと見て見ると、白い小窓に三十という数字が見えた。
どうやら白浜くんは死ぬ前にインスタントカメラの撮れる枚数を全部使いきったらしい。
普段私は自分で撮った写真は自分で現像している。
このカメラも自分で現像できるだろうかと思ったけれど、フィルムがどこに入っているのか分からない。
急いでネットで現像の仕方を検索する。
するとカメラを分解すれば現像できるかもしれないことが分かった。
でも――失敗も怖いし、大人しく写真屋さんに行って現像してもらうほうがいいかもしれない。
……確か近所のスーパーに写真屋さんが入っていたはず。
私は夕ご飯の買い出しに行くついでに、近所のスーパーに寄って写真を現像してもらうことにした。
一時間半ほどで写真は出来上がり、私は写真屋さんの封筒を手に部屋に戻ってきた。
パラリ。
出来上がった写真を一枚一枚手に取る。
自分のクラスの友達を写した写真。
劇の練習をする生徒会メンバーの写真。
学生寮の前にいた猫の写真やただの空の写真もあった。
でも、ほとんどが私の写真だった。
お弁当と引き換えに初めて取材をした時の写真。
二人で映画を見に行った時の写真。
文化祭でお好み焼きを焼いてる写真。
一緒にクレープを食べた時の写真。
二人でキスをした観覧車の写真。
中にはいつ撮ったんだろうっていうような、学校でカメラを構える私の横顔や、料理中の私の後ろ姿、部屋で寝落ちしてる私の写真もあった。