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目が覚めると、私の頬はべっとりと涙で濡れていた。
「……やっぱり夢か」
私はむくりと体を起こし、目をゴシゴシとこすった。
カーテンの外はもう明るくて、朝日が柔らかく部屋の床に差し込んでいる。
コチコチ音を立てる目覚まし時計。時刻は朝七時だった。
三、四時間しか寝てないはずなのに、頭は妙にすっきりしている。
夢の中で白浜くんに会えたからかな。
はあ。
夢の中でしか会えないのなら、せめてもう少しだけでもあの夢の中にいたかったな。
あの青くて淡いまどろみの中にいたかったな。
もっと言いたいことがたくさんあったのに。
そう思ったけれど――今さら二度寝しても再び白浜くんに会えるとは思えなかった。
だって私たちは、もうさよならしたのだから。
私は机に置いてあった自分のカメラを撫でた。
夢の中でも、お互いにファインダー越しに見つめ合って、写真を撮り合っていただなんてなんだか変な感じ。
でもそれが、最高に私たちらしいと思った。