夢の中で、私は青白い霧の立ち込める空間の中に立っていた。

 ここはどこだろう。

 ここは――。

 ……ちゃぷん。

 一歩踏み出そうとすると、水の感触があった。

 ここは川? それとも海?

 びっくりして一歩下がると、今度は白い砂利を踏みつけた。

 どうやらひどく浅い川ほとりに私はいるらしい。

 ここはどこだろう。

 とりあえず水辺から上がり、砂利のある陸地に移動すると、段々と霧が晴れて対岸が見えてきた。

 対岸には、見慣れた黒髪の男の子が立っていた。

「……白浜くん⁉」

 私は川を渡って白浜くんに会いに行こうとした。

 だけど川の流れが速くて、思うように渡れない。

 どうして――私はただ、白浜くんに会いたいだけなのに。

「白浜くん――白浜くん、白浜くん!」

 私は声がかれるほど叫んだ。

 だけど白浜くんは首を横に振るばかりで何も言ってくれない。

「どうして? どうして何も言ってくれないの⁉ 白浜くん!」