「あっ、あれ私たちの学校じゃない?」

 私が学校を指さしていると、向かいの席に座っていた白浜くんが私の隣に座った。

「……そうだね」

 白浜くんが私の肩に手を置く。

 振り返ると、白浜くんの顔が近づいてきた。

 私はとっさに目をつぶり――私たちは小さな小さなキスをした。

 ほんの数秒だけのわずかなぬくもり。

 びっくりして顔を上げた私の目に映った、儚げで優しく美しい瞳。

 私は声にならないような小さな声で吐き出した。

「すき……私、白浜くんが好き」

「うん。僕も好き」

 白浜くんが私の手をそっと握ってくれる。

 私は胸が詰まりそうになりながらも、精一杯の言葉を紡いだ。

「だから――ずっと一緒にいて。そばにいて。辛いことも悲しいこともあるかもしれない。でも……私は白浜くんとずっと一緒がいい。ずっとそばにいて」

 白浜くんは、少しびっくりしたように目を見開いた後、穏やかな表情でうなずいた。

「うん。約束だよ」

 私と白浜くんは小指を絡めて約束を交わし合った。

 きっと二人は永遠。

 いつまでも一緒。

 私のそばにいて。

 離れないで。

 ずっと。ずっと。

 私を一人にしないでね。

 白浜くん――。