「あ、観覧車がある」
空がほのかに紅く色づき始めたころ、白浜くんは観覧車を指さした。
「これに乗ってから帰ろうか」
「うん」
二人で観覧車に乗りこむ。
「わあ、高い」
私は徐々に遠ざかっていくお店やおうち、周囲の街並みを見て声を上げた。
「わあ、すごくいい景色!」
私がはしゃいでいると、白浜くんが目を細める。
「そうだね」
「……どうしたの?」
「いや」
白浜くんが遠い目をする。
「実は俺、小学生の頃からずっと学級委員長だったんだ。小さいころから手術をしたりして親に心配かけてたから、もうこれ以上心配かけないようにしっかりした子供になろうって思ってさ」
「そうだったんだ」
「でもよく考えたら、そのせいで遠足で遊園地に来たりしても、他の子の面倒を見たり班を仕切ったりするのに忙しくて、思いっきり遊んだことってなかったなって」
それは可哀想かも。
しっかりしてるのも大変だな。
私は自分が小学生の時のことを思い出した。
お父さんが亡くなって、これからはお母さんを支えていかなきゃって、私がしっかりしなきゃって思った日のことを。
思えばあの日から、私はあまり泣かなくなったのかもしれない。
私は尋ねた。
「じゃあ今日は、思いっきり遊べた?」
「うん」
白浜くんがうなずく。
「楽しかった。ありがとう」
とびきりの笑顔を見せてくれる白浜くん。
その無邪気な表情は、いつもの王子スマイルよりずっといい。
学校にいるときもカッコつけてるんじゃなくて、いつもそうしていればいいのに。
少しして、観覧車は一番高いところで止まった。
遠くの街並みが、真っ赤な夕焼けに溶けていく。
なんてキレイな景色なんだろう。
空がほのかに紅く色づき始めたころ、白浜くんは観覧車を指さした。
「これに乗ってから帰ろうか」
「うん」
二人で観覧車に乗りこむ。
「わあ、高い」
私は徐々に遠ざかっていくお店やおうち、周囲の街並みを見て声を上げた。
「わあ、すごくいい景色!」
私がはしゃいでいると、白浜くんが目を細める。
「そうだね」
「……どうしたの?」
「いや」
白浜くんが遠い目をする。
「実は俺、小学生の頃からずっと学級委員長だったんだ。小さいころから手術をしたりして親に心配かけてたから、もうこれ以上心配かけないようにしっかりした子供になろうって思ってさ」
「そうだったんだ」
「でもよく考えたら、そのせいで遠足で遊園地に来たりしても、他の子の面倒を見たり班を仕切ったりするのに忙しくて、思いっきり遊んだことってなかったなって」
それは可哀想かも。
しっかりしてるのも大変だな。
私は自分が小学生の時のことを思い出した。
お父さんが亡くなって、これからはお母さんを支えていかなきゃって、私がしっかりしなきゃって思った日のことを。
思えばあの日から、私はあまり泣かなくなったのかもしれない。
私は尋ねた。
「じゃあ今日は、思いっきり遊べた?」
「うん」
白浜くんがうなずく。
「楽しかった。ありがとう」
とびきりの笑顔を見せてくれる白浜くん。
その無邪気な表情は、いつもの王子スマイルよりずっといい。
学校にいるときもカッコつけてるんじゃなくて、いつもそうしていればいいのに。
少しして、観覧車は一番高いところで止まった。
遠くの街並みが、真っ赤な夕焼けに溶けていく。
なんてキレイな景色なんだろう。