ショッピングを終えた私たちは、次にクレープ屋さんに移動した。

「ここのクレープ、生地がもっちりしてて美味しいらしいよ」

 白浜くんがピンク色の可愛いキッチンカーを指差しながら言う。

「へぇ、そうなんだ。私、食べたことない」

「僕も初めてだ」

 二人でクレープ屋の列に並び、注文をする。

 白浜くんはイチゴカスタード、私はチョコバナナクレープにすることにした。

「わあ、白浜くんのクレープ、いちごがたくさん入ってる!」
「花のも美味しそうだね」

 二人でクレープにかぶりつく。

「わあ、美味しい」

 私がチョコバナナの美味しさに浸っていると、白浜くんがイチゴカスタードのクレープを差し出してきた。

「一口食べてみる?」

「いいの? あ、私のクレープも一口どうぞ」

 二人でクレープを交換して食べてみる。

「おいしい」

 パシャリ。

 私がクレープにかぶりついていると、急にシャッターを切る音がした。

 見ると、また白浜くんがインスタントカメラを構えてる。
 
「もう、また変なの取って」

「だって可愛くて。ほら、鼻にクリームついてる」

「もう、そんなの撮らないでってば」

 もう、白浜くんったら……。

 私が少し拗ねていると、白浜くんは屈託のない笑顔で笑う。

「楽しいね」

「……うん」

 楽しいのは嘘じゃない。

 こうしていると私たちは、まるで何の不安もない、ごく普通のカップルみたいに見えるんだろうな。

 でもふとした拍子に病気のことが頭をかすめてしまう。

 せっかくのデートだし、思いっきり楽しみたいのにな。