観覧車のあるショッピングモールは、電車で二駅ほど先にある。

 私たちはゆりかごみたいに心地よく揺れる電車に揺られ、目的地へとやってきた。

「何か欲しいものとかある?」

 レンガを模した赤茶色の道を歩きながら白浜くんが振り返る。

「特にないけど、どうして?」

「花、もうすぐ誕生日でしょ」

 白浜くんの言葉に足を止める。

「もうすぐじゃないよ。十二月十八日」

 私は答えた。

 今は十一月だから、誕生日までまだ一か月もある。

「もうすぐじゃん。何か買ってあげるよ。クリスマスもあるしさ。早く買わないと良いものなくなっちゃうよ」

 私は白浜くんの顔をまじまじと見た。

 私は別にプレゼントなんていらなかった。

 そんなことより白浜くんと誕生日もクリスマスもお正月も、ずっと一緒に入れたらそれでよかった。

 他には何もいらなかった。

 でもそんなことを言うのは恥ずかしいので、 私はできる限り平然とした顔で目の前の洋服屋さんを指さした。

「あ、じゃあ、あのお店見てもいい?」

「良いよ。一緒に見よう」

 二人で洋服屋に入る。