白浜くんから病気の話を聞いてからというもの、私はネットで検索魔になった。

 検索すると一番上に病気の基本的な情報は出てきたけど、それだけでは満たされなかった。 

 SNSで白浜くんと同じ病気の人を見つけ、必死でフォローしていく。

 その中でも二十歳以降も生き延びている人を見つけると喜んでスクショした。

 二十歳以降の死亡率があまりにも高くて不安でいっぱいだったけど、百パーセント死ぬわけじゃない。

 それだけが救いだった。

 私は白浜くんが生き残るわずかな可能性にすがった。

 まるで細い蜘蛛の糸にしがみつくみたいに。

 でも――胸のザワザワは抑えられなかった。

 わずかな光を見つけてすがろうとするけど、それは瞬く間にこの手から零れ落ちていく。

 まるで水面に映る遠い街の明かりを掌ですくい上げているみたいだった。

 この行為に意味がないことは分かっていた。

 症状の出方も寿命もその人によって違う。

 それは病気を調べた時に一番最初に書いてあったことだったから。

 でも、やらずにはいられなかった。

 気が付くと心の中が闇に覆われそうになるから。

 日本では患者数が少ないからかあまり情報は出てこなかったけれど、必死に探し回ると、白浜くんと同じ病気だという男の子のブログが出てきた。

 写真を見ると白浜くんと同じように色白の美形で、文章からも知性がにじみ出てる。

 こういう病気の人ってみんな美人やイケメンだったりするのかな。

 そんなことを思いながらブログを見ていく。

 好きなスポーツや趣味の料理のことを書いた記事が続き、特に具合が悪そうな感じには見えない。

 だけど彼のブログは、十八歳の誕生日の記事を最後に更新が途絶えていた。

 「明日心臓の手術をします」というのが彼の最後の言葉だった。

 目の前が真っ暗になる。

 怖い。

 怖いよ、白浜くん――。