「それならそうと言ってくれれば、私も病院にも付き添ったのに」

 白浜くんと一緒にいられるなら、どこへだって行ったのに。

「ごめん、花には弱ったところとか、かっこ悪いところとか見せたくなかったから。でも手術するとなると、入院したりもしなきゃいけないし、やっぱりきちんと話しておかないとって」

 穏やかな口調で淡々と話す白浜くん。

 そんなわけない。文化祭の準備で少し疲れただけだ。だって――。

 だって白浜くんが死ぬわけない。

 だけど、その言葉は口には出せなかった。

 私はただ、黙って下を向くしかできなかった。

「ごめん、急にこんな話をして。でも花には知っておいてほしかった」

 真剣な瞳で言う白浜くん。

 白浜くんのバカ。

 私は心の中で毒づいた。

 白浜くんはいつもそう。

 いつも私に隠し事ばかり。

 文化祭の時も、家の前で倒れていた時もそう。

 私にずっと心配かけまいと体のことを黙っていた。

 少しは私に弱みを見せてもいいのに。

 でも――。

「そっか。手術、頑張ってね」

 私もできるだけ大したことじゃないような口調と顔で言った。

 本当はすごく心配なのに。

 ああ。

 本当だ。

 沙雪ちゃんの言った通り、私と白浜くんは少し似ている。

 いつも強がって、弱みを見せることができない。

 本音で話せない。

 ――バカなのは、私だ。