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 土曜日。

 私は白浜くんと学校近くの喫茶店に入った。

 民家を改築したような外見の少しレトロなその喫茶店は、学校から徒歩数分の所にあるんだけど、入ったことは一度もない。

 店内では、白髪に白いひげを生やしたおじいさんがコポコポとコーヒーを入れていた。

 窓には昭和レトロなステンドグラスがはめられており、綺麗に掃除された店内には、薄くジャズがかかっている。

 なんだか大人の雰囲気に私は少し戸惑ってしまう。

 うわあ、なんだか静かですごくおしゃれ。

 同じカフェでも有名チェーン店とは全然違うな。

 でも、別れ話というのはこういう改まったところでするものなのかもしれない。

 ドキドキしながら革張りのソファーに座る。

「俺はアイスコーヒーで」
「じゃ、じゃあ私はカフェオレ……」

 私が注文すると、しばらくして古びたエプロンをつけた老婦人が注文したアイスコーヒーとカフェオレを運んできた。

 カラン。

 白浜くんが白くて細い指でコーヒーをかき混ぜた。

 窓から薄く太陽の光が入り、白浜くんの髪をほんのり染める。

 うわあ、なんて綺麗。

 私は思わず写真を撮りたい衝動に襲われたけど、そういう雰囲気ではないのでやめておいた。

「あの二人、夫婦かな。すごく雰囲気良いよね」

 白浜くんが不意に顔を上げる。

「そ、そうだね」

 私は笑顔を作って答えると、すぐにカフェオレに視線を落とした。

 茶色と白がくるくると溶け合う。