そっか。

 私たちはずっと前から恋に落ちてたんだ。

 気がつけば目で追ってる。

 カメラのピントを合わせたみたいに、周りが見えなくなって、その人だけくっきりと見える。

 私たちはそうやってずっと、お互いを目で追ってたんだ。

 ギャラリーを出ると、外はすっかり赤く染まっていた。

「それじゃあ二人とも、じゃあね」

 お母さんが手を振って別れる。

 私たちはブラブラと二人で駅前を歩いた。

 私の心は何だかとっても晴れやかだった。

 心が弾んでその場でスキップしたい気分。

「写真展、良かったね」

 私が言うと、白浜くんは口元に笑みを浮かべた。

「うん、良かった。亡くなってからも、ああいう風にお父さんの意思が残っているのがなんだかすごくいいなって思ったよ」

 そう言うと、白浜くんが右手を差し出してくる。

「少し歩こうか」

「うん」

 私はギュッとその手を握った。

 とくん、とくん。

 心臓の鼓動が、つないだ手越しに伝わるようだった。