「お母さん、何だって?」

 電話が終わると、白浜くんが心配そうに私の顔をのぞきこんでくる。

 あっ、もしかしてこの間倒れたことがあったから心配してるのかな?

「あ、うん。別に大したことじゃないの。お父さんの写真展を見に行かないかって。白浜くんも一緒に」

「おっ、いいね。見に行きたい」

 なんだか妙に乗り気の白浜くん。

「白浜くん、写真好きだったの?」

 私が首をかしげると、白浜くんはこう言って微笑んだ。

「興味あるよ。だって花のお父さんのことだもん」

 白浜くんは、私の手をそっとにぎった。

「俺はさ、最近なんだか花のことなら何でも知りたいって思うんだ。変かな」

 その眼差しがなんとも言えず熱っぽくて、私は目をそらしてしまう。

「……別に変じゃない。分かった。白浜くんも来るって話しておくね」

 私は白浜くんから離れると、お母さんにOKのメッセージを送り、ため息をついた。

 全くもう。白浜くんって、こんな人だった?

 胸の奥がひりひり焼けるように痛い。

 それとも……何か企んでる?