私がそんなことを考えていると、急にスマホが鳴った。

「あ、お母さんから着信だ。ちょっと待ってて」

 白浜くんに断りを入れて電話に出る。

「もしもし」

「あ、花。今度お父さんの写真を展示する展覧会があるらしいの。一緒に見に行かない?」

「お父さんの?」

 今年はお父さんが亡くなって十年の節目の年。

 お父さんの写真仲間が、お父さんが生前撮った写真の展覧会を企画してくれたんだって。

 お父さんは報道写真だけじゃなく趣味の写真もたくさん撮っていた。
 花とか空とか動物とか。今回はそういうのを展示するんだって。

「へえ、そうなんだ。行ってみたいなあ」

 私が言うと、スマホの向こうからこんな声が聞こえた。

「行きましょうよ、この間のあの彼氏と一緒に。ねっ」

「えっ」

 白浜くんも一緒に?

「それじゃあ、誘っておいてね。お母さんがぜひこの間のお礼をしたいって。よろしくね」

「あっ。ちょっと待っ……」

 ガチャッ。ツーツーツー。

 一方的に言って電話を切るお母さん。全くもう。